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本と映画と政治の批評
by thessalonike

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町村信孝の無能外交 - 安保理常任理事国入りをめぐる情勢
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国連安保理の常任理事国入りを目指す日本など4ヶ国が描いてきた計画が、米国からのブレーキで暗礁に乗り上げた。今月の提出、採択を目指した安保理拡大の枠組みを決める決議案をめぐって、最近は先送りを求める声が常任理事国拡大に反対する国以外からも出て、流れは変わっていた。「G4の枠組み決議案は3分の2の賛成を得ることはおろか、投票すらされないだろう」常任理事国拡大に反対する加盟国グループで作る「コンセンサス連合」のある大使は6日、常任理事国入りを目指す日本、ドイツ、インド、ブラジル4ヶ国で作るグループ「G4」封じに自信を見せた。国連では、ここにきて4ヶ国への包囲網が狭まりつつあった。中国やコンセンサス連合各国が決議案提出に反対する動きを強めたことに加え、6月に入って提出が現実味を帯びると、アフリカなどで賛否に躊躇する国が出始めたからだ。 (6月8日 朝日)




町村信孝の無能外交 - 安保理常任理事国入りをめぐる情勢_b0018539_9314218.jpgいま個人的に最も関心のあるニュースがこの問題なのだけれど、テレビの報道番組では全くと言っていいほど取り上げられない。NHKの夜7時のニュースでは一度も見たことがない。イチローや高見盛や宮里藍や福原愛で埋め尽くしている放送時間のせめて十分の一でも、この国連情勢関連の報道に割いてもらえればありがたいが、常任理事国入りが確定するまでは絶対に放送しないと腹をくくっているようである。まさに大本営政府広報。今日の朝日新聞ではこのニュースが二面にわたって大きく報道され、社説でも取り上げられていた。予想した以上に状況は日本にとって悲観的で、朝日の論調が情勢を正確に反映したものであれば、日本の常任理事国入りは絶望的である。一ヶ月後にスコットランドで主要国首脳会議が開催される。日本としてはその世界が注目する場でG7首脳からエンドースメントをもらう外交演出を見せたかっただろうが、どうやらそれも期待薄な雰囲気になった。

町村信孝の無能外交 - 安保理常任理事国入りをめぐる情勢_b0018539_9315515.jpg今週、町村外相はベトナム、ブルネイ、カンボジアの三ヶ国を訪問して票固めをするという。一体何をやっているのだろうか。ベトナム、ブルネイ、カンボジアなど、普通に考えればデフォルトで向こうから日本支持を明言する国であり、こんなところを今頃になって、しかも外相が直に足を運んで票固めしているようでは話にならない。三ヶ国の思惑は、懼く票の代わりに経済支援の上積みを要求するものだろうが、この時期に足元の東南アジアの親日諸国を駆け回って票固めしなければならないという事は、すなわちそれだけこの地域で中国からの圧力が厳しくなっているという現実を示唆している。ベトナムは社会主義国であり、過去に日本軍の侵略とコメ強奪によって大量の餓死者を出した苦い歴史がある。中国の説得がそれなりに影響を及ぼす土壌があると見てよいだろう。先月から今月にかけてアジア太平洋地域の首脳が続々と来日した。パレスチナ、ニュージーランド、シンガポール、インドネシア。

町村信孝の無能外交 - 安保理常任理事国入りをめぐる情勢_b0018539_9322088.jpgルーマニアの大統領まで遠路来ていた。首脳が来日した国はほぼ間違いなく日本支持で一票という意思表示なのだろう。その代わりお金が貰える。話が少し脱線するが、日本の報道は外国の首脳の来日に本当に冷淡で関心を示さない。これは真に不思議な問題で、日本のメディアが注目するのは、米国、中国、韓国、ロシアの首脳の来日だけである。NHKBSで中国中央電視台のニュースが時々流れているのを見るが、外国の元首や首相の訪中は常にトップニュースの扱いで報道されている。指導者の人となりについて紹介するのもよいし、日本とその国の現在の経済関係や貿易状況について解説があってもよい。首脳の訪日は外国を知るよい機会であると思われるが、日本のテレビ局にはそのような意識は欠片もなく、お決まりの大リーグと女子ゴルフと拉致被害者家族の映像で毎日の画面を埋め、それを恰もブロイラーに餌を食わせてやるようにデイストリビュートしているのである。

町村信孝の無能外交 - 安保理常任理事国入りをめぐる情勢_b0018539_932322.jpg日本にとって情勢が一転したのは、何と言っても中国が日本の国連安保理常任理事国入りに拒絶の姿勢を鮮明にしたことが大きい。中国の王光亜国連大使がアナン事務総長に対して、たとえ国連総会で憲章改正決議案が採択されても中国国内の人民代表者会議でそれを批准しないだろうと明言したのは今月の2日、呉儀帰国事件から十日後のことである。中国はもともと日本の安保理入りに対して特に否定的ではなかった。韓国も同じである。両国とも内心は賛成ではなかったが無理に反対に徹する理由もなく、日中友好や日韓友好の大義の下で消極的支持の態度を示していたに過ぎなかった。それが竹島問題を経て韓国が明確に反対に回り、そして反日デモと呉儀帰国事件の後、中国が反対の先鋒に立った。日本が靖国批判は内政干渉だなどと開き直り始めたからである。結論から言えば、町村信孝や小泉純一郎のような無能な右翼に政府をやらせ、外交をやらせていたら、日本は百年経っても国連常任理事国などなれっこない。
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by thessalonike | 2005-06-08 23:46 | 米大統領選考ほか(5)   INDEX  
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