本と映画と政治の批評
by thessalonike
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小泉政治の終わりの終わり - 「構造改革」の嘘の露呈と終焉
b0018539_11285636.jpg大差で法案否決という予想は的中したが、内閣総辞職という持論の予想は外れた。意外であり、また若干忸怩たるものがある。総辞職は完敗であり、解散総選挙ならば勝利の目があるとして賭けに出たのだろうが、まさに変人。国政の私物化もいいところだ。常識で考えれば自民党は大敗して政権を失う。投票日までの一ヶ月の間、小泉首相が何を仕掛けてくるのか、ウイニングストラテジーが読めない。参院での自公多数を担保にして、何かウルトラCの政界再編の秘策を隠しているのだろうか。分裂選挙では分裂そのものが選挙の議論の対象になり、選択の関心の焦点になる。結束している方が強く、分裂している方が弱いのは当然だ。自民党は小泉執行部側も造反議員側も「分裂」について説明をしなければならず、自己正当化の理屈を動員しなければならない。そこですでに内部消耗し、外に対する説得力のエネルギーを減殺する。私は都議選の結果について「小泉政治の終わりの始まり」と総括したが、ドラマは展開の速度を加速させて、それから僅か一ヶ月で「終わりの終わり」の入口に到達した。総選挙は小泉政治の「終わりの終わり」である。



b0018539_11371713.jpgと同時に、自民党政治の終焉を決定づける総選挙になるだろう。最初に現時点での私の予想を言えば、選挙の結果は民主党が過半数を制して単独政権を確立する。自民党は二百議席を割り込み、公明党と足しても過半数に届かない惨敗を喫するだろう。今後、何か特別な事件が発生しないかぎり、小泉政権は確実に国民に不信任を突きつけられる。「小泉改革」の時代が終わる。自民党の候補者たちは、いかに自分たちが有権者に訴える言葉を持っていないかを気づかされるだろうし、前回二年前の選挙が小泉人気に便乗した安易なものだったかを思い知らされるだろう。「小泉改革」と言えば人が踊る時代は終わった。自民党には魅力がない。人がいない。派閥も体を成していない。実力者がいないから派閥が存続不能になっている。自民党は「小泉人気」に寄生している政治ゴロの集団だ。広島平和記念式典の秋葉市長の話を聞いた後で永田町の連中の話を聞いていると、何でこんな連中が日本の中央の政界を牛耳っているのか不思議に思う。麻生太郎とか中川昭一のような醜悪なゴロが閣僚に収まって威張っているのが信じられない。

b0018539_11293240.jpg私が小泉首相は解散しないだろうと予測した理由の一つは、幹事長が武部勤のままという問題もあった。過去二回の国政選挙を小泉首相は安倍晋三で戦っている。幹事長は選挙の顔である。武部幹事長を替えないまま小泉首相が選挙戦に突入するとは思えなかった。今度の政局で数多くの自民党政治家を見てきたが、人材の払底が著しい。亀井静香たちが新党の旗を上げられないのも党首がいないからである。野田聖子が手を挙げないのは、この集団を最初から見切っているからで、さっさと選挙を済ませて自民党に戻る腹積りでいる。分裂選挙になる造反議員の選挙区は悉く民主党が議席を奪い取るのではないか。亀井静香の顔と話も飽きた。緊張感がなく魅力がない。亀井静香のような賞味期限切れの政治屋が永田町でウロウロしているから、古館伊知郎や福岡政行が政治を戯画化してバカにできるのであり、政治報道を政界小噺にして笑いものにできるのである。秋葉忠利のような政治家が中央に十人いれば、日本の政治はワイドショーのネタにはならず、岸井成格や田原総一朗や三宅久之に好きなように操縦支配されることもないのだ。

b0018539_11294859.jpg問題の選挙の争点だが、昨夜の小泉首相の会見があり、直後に『報道ステーション』に出演した岡田克也の反論があり、それら二つを踏まえた上での今朝の和田圭の解説があった。NHKの政治記者の話でも、簡単に「郵政民営化が争点」であるとはしていない。これまで「小泉構造改革」路線の宣伝に努めてきた和田圭が、今回は慎重な言い方に変わっている。構造改革の賛否が争点だと視聴者に説明しているのは(昨晩までのところでは)痴呆の古館伊知郎だけである。この男は自覚的な新自由主義の前衛でも何でもなく、単に頭が悪いだけで、そのため「改革」の嘘に本当に騙されていて、騙されている事に気づいてないだけらしい。昨夜の岡田克也との議論では、古館伊知郎のバカさ加減が目を覆うばかりに赤裸々に露呈していた。やはり頭の悪い人間を報道キャスターに起用してはいけない。郵政民営化を総選挙の争点に捏造する試みは、大衆を欺こうとする小泉首相の詐術である。岡田克也が喝破したとおり、またぞろ「小泉改革対抵抗勢力」の偽りの構図を演出して、自分を改革の救世主だと信じ込ませて票を掠め取る算段なのである。

b0018539_1138992.jpg郵政法案が否決され、解散総選挙が本決まりになったとき、竹中平蔵は「郵政法案の否決は日本の将来と経済にとって大きな損失」だと言い、また法案否決は「マーケットに対して大変厳しいメッセージである」とも述べた。だが、ほんの一瞬下落した東証株価は反発してすぐに値を戻し(8/8は全面高・円も反発)、日経新聞は「法案否決の景気への影響は限定的」、「否決と解散総選挙は相場に織り込み済み」と報じている。竹中平蔵の脅し文句もすっかり馬耳東風の様子で、マーケットは何の痛痒も感じていないようである。 NHKやフジテレビが「小泉改革」の嘘と馴れ合うのを敬遠し始めたように、マーケットはもっと率直に竹中平蔵の嘘を見破っている。竹中平蔵の警句が事実なら株価はさらに下がってよいはずだ。「構造改革」などというのは嘘であり、人を騙すための虚飾のシンボルタームであり、国民経済や国民生活にプラスの効果を導く政策の実質は何もなかった。社会保障や福祉制度を潰したり給付を削減するときに、それを正当化する観念として使われ、説得に威力を振るった言葉である。それは日本版新自由主義のイデオロギーであり、「改革」で利益を蒙ったのは米国資本だけだった。
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by thessalonike | 2005-08-09 23:30 | 郵政民営化 ・ 総選挙 Ⅰ (15)   INDEX  
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