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本と映画と政治の批評
by thessalonike

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丸の内オアゾの丸善本店 - 雨の日はここでお買い物
丸の内オアゾの丸善本店 - 雨の日はここでお買い物_b0018539_21383515.jpg鳴り物入りでオープンした丸の内オアゾの丸善本店。メディアで注目を集めているせいか、人がとても多かった。本の品揃えは悪くないが、客が多かったことと、初めてだったので、落ち着いてゆっくり本を見ることができなかった。フロアに高さがあるのはいい。が、ワンフロア当たりの床面積は思ったほどでもない。もっと広い店を想像していた。新しい話題の店であり、週末でもあり、オアゾをデートスポットとしてチェックしに来た若いカップルとか、新名所だから行ってみようかと連れ立って来ていた老夫婦が多くいた。4階のレジカウンターに並んだが、今日のあの待ち行列が次も続くようだと、あと暫くは訪問を遠慮する気分になる。もう少し落ち着くのを待ってから行ってみよう。6階のレストランの一軒に恐る恐る入ったが、予想したとおり値段は高くて内容は貧弱だった。昔懐かしいバブルの小世界が復活している。

丸の内オアゾの丸善本店 - 雨の日はここでお買い物_b0018539_21384869.jpg私はどうも丸善という本屋が昔から好きじゃない。勝手な偏見に違いないが、経営者や幹部が本を愛しているように見えないのだ。本の並べ方はジュンクと三省堂に倣っているのかなと感じたが、初めて池袋のジュンク堂を訪れたときのような新鮮な感動がない。本屋としてはジュンク堂の方がプロフェッショナルだし、ジュンク堂や東京堂書店の経営の方にヨリ本への愛着や拘りや斬新なアイディアを感じる。本が好きな顧客の心をよく捉えているように思う。経営者や従業員自身が一級の本読みであり、つまり水準の高いマニアックな読者なのだ。その点、三省堂書店などは少し劣るように思われる。店員の中に、本のプロではなく、本が必ずしも好きではない者がいる。丸善になると、普通の企業の採用で社員になった人間が店にいて、職人らしさが感じられない。フロアの中にPCを置いて本を検索させている。

丸の内オアゾの丸善本店 - 雨の日はここでお買い物_b0018539_21393516.jpg丸善の企業理念は、懼く、本が好きな顧客に愛される店舗を作ることではなく、もっと別のところにあるのだろう。本当は文房具とか趣味の品とか芸術品とか、その延長のもっと高級なプロダクトとかサービスとか、そういう書籍以外の方面に事業を伸ばしたいのだろう。いま競合他社がどんどん大型店を出して売場面積を拡大しているので、競争戦略上、本店を日本橋から丸の内に移転する決断をしたのに違いない。無論、そのデシジョンは正しく、間違ってはいない。丸の内の街の集客数は増加する一途だし、オフィスも新規に増え続けている。八重洲ブックセンターの平日の混雑を思えば、何で今まで周辺に競合店が進出していなかったのか不思議に思えるほどだ。だが、本屋として自分の定番の店にするかどうかと言えば、今のところは様子見だ。やはり神田の方が魅力がある。食事も神田の方に軍配を上げる。

丸の内オアゾの丸善本店 - 雨の日はここでお買い物_b0018539_21394886.jpg強いて言えば、地下鉄の駅から外へ出ずにそのまま本屋に入れる。交通の利便性は確かにある。夏の暑い日や雨の日は助かる。大概の本が揃っているのであれば、ここで買っちゃおうという気になるかも知れない。池袋の駅からジュンクまでは遠いのだ。あれを歩くのは苦痛だ。あの人混みと狭い歩道は苦手で、人に優しくない池袋の空気は苦痛だ。神田も、神保町の駅から三省堂・東京堂までの間の距離が雨の日は少し辛い。何より神田は地下鉄が三本しか通ってなくて、しかも二本は都営線。乗り換えして行く価値は十分あるものの、交通に不便があるのは言うまでもない。丸善が丸の内に店を構えたことで、確実に足を運ばなくなる店が一軒ある。八重洲ブックセンター。ほんの数年前は、あの店舗の広さと品揃えの豊かさと立地のよさが魅力的だった。株価のボードを横目で見るのも楽しい気分だった。

本の市場は急激に変わっている。特に東京の本屋は。

丸の内オアゾの丸善本店 - 雨の日はここでお買い物_b0018539_155639.jpg

by thessalonike | 2004-09-26 00:14 | 丸の内オアゾの丸善本店   INDEX  
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