本と映画と政治の批評
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韓国映画『スキャンダル』(3) - 私が監督ならこう撮った
b0018539_9505487.jpgヒヨン役のチョン・ドヨンがミスキャストではないかという意見があって、それには多少アグリーする部分がある。個人的に欲を言えば、『ブラザーフッド』のイ・ウンジュあたりが出演してくれれば最高の配役になったかも知れない。懼くこれには少し事情があったはずで、それは何かと考えると、ヒヨン役の女優には二つの条件が要る。一つは妖艶で淫靡なチョ夫人と対照的な個性である清楚で貞潔な女のイメージを強く押し出す女優でなければならないということ。ヒヨンは処女でキリスト教の奉仕活動に身を捧げる女だ。もう一つの条件は、R指定の成人映画で全裸を曝し、濃密なラブシーンを演じられる女優でなければならないこと。この二つの条件で探したとき、チョン・ドヨンしかいなかったということなのだろう。チョン・ドヨンは貞潔の印象だけは満点と言える。



b0018539_9512062.jpgこれは想像だけれど、韓国ではまだまだ女優が脱ぐこと、裸を見せることに、日本と較べて社会的に抵抗があるのではないだろうか。裸を見せる女優は格下だという意識が残っているのかなと感じるところがある。日本では映画の中のストーリーの必然という観念で女優が脱ぐ正当性根拠が確保されているのだが、韓国ではまだその観念の定着が弱いのかも知れない。もしそうだとすれば、そこにはやはり儒教の文化的影響があるからだろう。礼を重んじる儒教は(男も女も)裸は厳禁なのだ。そう思った理由の一つは、昨年見たキム・ユンジンの『密愛』で、粘っこいラブシーンがありながら、キム・ユンジンは最後まで上半身を見せなかった。不倫愛を描いた『密愛』の売りは彼女のラブシ-ンに尽きたはずだが、当然出るべきものが無理に隔されていて不自然だった。

b0018539_9513428.jpg日韓親善大使の社会的要職を務めて韓国の名士となったキム・ユンジンには、やはり全裸は御法度だったのだろうか。本人が裸の露出を拒否したのか。キム・ユンジンも、男優のイ・ジョンウォンもそれなりに熱演していたが、結局のところ『密愛』は中途半端な映画に終わっていて面白くなかった。夢を見せる商売である映画女優は、映画の中で脱ぐことを躊躇しては駄目だ。ズバッと脱いで見せなきゃいけない。美しい裸体を見せて、観客に生唾を飲み込ませなければいけない。テレビでは見れないものを映画館で見せる。大衆に夢を売る。それが映画というビジネスであり、女優という職業だ。『スキャンダル』では、男優のペ・ヨンジュンが映画に備えて体を鍛え、観客の視線に耐える肉体を仕上げて濡れ場を熱演していたが、ラブシーンの主役はやはり女優なのだ。

b0018539_9514832.jpgヒヨンとチョ・ウォンのラブシーンは映画の中で決定的に重要な意味を持つ。あの中でヒョン役のチョン・ドヨンは「処女とは思えぬほどに燃え上がった」官能の演技をしなければならない。二人のラブシーンについてブログでの評価は様々だが、私が監督だったらもう少し官能表現を高めるカメラを工夫しただろう。映画の中では(チョ夫人宛の手紙で)チョ・ウォンに「体位を変える必要は全くなかった」と言わせていて、映像も正常位と対面座位が使われていたが、私ならむしろ後背位や騎乗位を積極的に使う。その方が官能のエロス表現をより強力に説得できると思うからだ。それと二人の動きを影にする演出、黒い二つの体の影が動いて見せる演出効果も使ってみる。今回の『スキャンダル』のラブシーンは(生々しくはあったが)正攻法的で、少し幼稚な感を否めなかった。

b0018539_952129.jpgスクリーンで観客に対してエロスを説得できるのは女優の官能の演技表現だけだ。男優は刺身のツマほどの意味もない。カメラは女優の身体と表情を撮影して画面を作らなければいけない。だから、その意味でヒヨン役のチョン・ドヨンには荷が重かったと言えるかも知れない。ついでに調子に乗ってもう一つ欲を言えば、チョ夫人のイ・ミスクにもズバッと脱いで欲しかった。イ・ミスクは1960年生まれの44歳。韓国映画界では堂々たる地位を築き上げている大女優で、しかも高麗大学大学院出身の知性派でもある。韓国の男たちは『スキャンダル』に出演したイ・ミスクを、きっとハラハラして見守ったことだろう。脱がなくてよかったと安心したか、脱いで欲しかったと思ったのか。年齢は黒木瞳と同じ。黒木瞳は7年前の『失楽園』でバシッと脱いで、男たちの喝采を浴びた。

私が監督なら、ペ・ヨンジュンとイ・ミスクのラブシーンを撮って、この映画の最大の売りにした。
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by thessalonike | 2004-10-01 23:30 | 『スキャンダル』 (4)   INDEX  
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