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本と映画と政治の批評
by thessalonike

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球界再編考(5) - 仙台「地域密着」球団の裏側
球界再編考(5) - 仙台「地域密着」球団の裏側_b0018539_1815384.jpg球界参入に名乗りを上げたライブドアの対抗馬として楽天を動かしたのは読売の渡辺恒雄だと言われている。渡辺恒雄の1リーグ制構想に冷水を浴びせたライブドアを潰すためであり、堀江貴文がオーナー会議に参列して球界の運営を掻き回すのを阻止するためである。アダルトサイト問題を突破口にして始まった堀江潰しは着々と効を奏しているようで、今日の記事では早くも堀江の「ギブアップ宣言」が喋々されている。堀江が潰されてもわれわれは特に同情しない。今からでも十分に挽回の手を打つことは可能だと思うが、堀江の器量と甲斐性ではどうやらそれは無理なようである。堀江の失敗は、世論を味方につけようとしなかった事だ。NPBの決定は絶対に世論を無視できない。私が堀江なら、最後まで悪玉である渡辺のマイナスシンボルを利用して、渡辺の悪に対する正義の役割をアピールし、世論の支持を調達し続けた。



球界再編考(5) - 仙台「地域密着」球団の裏側_b0018539_182995.jpg渡辺恒雄と三木谷浩史の謀略を二宮清純や西村欣也に暴かせ、週刊文春ほかの週刊誌に煽らせ、「反渡辺」の社会的モメンタムをマキシマイズして、返す刀で、自分は魅力的な球界新構想とインターネットのエンターテインメント・パラダイムの新理論を掲げ、それを筑紫哲也や古館伊知郎の前で毎夜エバンジェライズした。無論、ネクタイとスーツのスタイルでである。デモス(市民大衆)は渡辺恒雄がとにかく嫌いなのであり、渡辺恒雄を挫折させる政治的動因ならばどんなものでも歓迎するのだ。デモスの意思はプロ野球界からの渡辺恒雄の影響力の排除なのである。「反渡辺」のシンボルとなって訴求すれば、間違いなく世論の圧倒的支持を得られた。同じ「反渡辺」のプラスシンボルである古田と同盟して、NPBの今回の審査決定に際して、選手会からの特別意見書を(公開で)提出してもらうという一手もあった。

球界再編考(5) - 仙台「地域密着」球団の裏側_b0018539_1822539.jpgそうやって、NPBが楽天を選出できない環境を作ればよかったのである。さて当の三木谷浩史だが、本気で仙台でプロ野球を経営する意思があるのか。どこまで本気なのか。一年二年やってみて、やっぱり赤字が出て駄目でしたという話に落とし込むのが狙いではないのか。渡辺恒雄の1リーグ制構想復活への呼び水になる腹積もりではないのか。本気で仙台で腰を据えてやるのなら、宮城球場の改修ではなく、もっと市の中心部の立地に本格的なドームを建設する必要があるだろう。宮城球場の改修で来季を間に合わせるというのは、どうも付け焼刃的で、いつでも撤退可能なようにリスクを最小限にして様子覗いしている印象が強い。私が仙台新球団のオーナーであれば、まず新ドームの建設計画を発表して、来季からの三年間は、設備のいい福島県営球場と秋田県営球場を組み入れつつ、仮の本拠地を東京ドームにした。

球界再編考(5) - 仙台「地域密着」球団の裏側_b0018539_1824385.jpg老朽化した宮城球場では新チームに結集してプレーする選手たちが可哀想だし、東北新球団誕生の祝祭モメントが弱くなる。あの球場に仙台市民が応援に来るかどうかも怪しい。昨年の日本ハムがやったように、まず札幌に移転する旨を宣言して、一年間じっくり時間をかけ現地で準備を整えた前例に倣って、仙台にドームが建つまでの三年間を東京ドームで間借りしてやるのがリーズナブルな方法ではないか。東京で宣伝した後で仙台に行く。仙台市民に期待を高めさせる時間と演出が必要であり、期待を高めさせる最大の施策はドーム建設である。ドーム建設のインベストが無ければ、仙台や東北の市民大衆は楽天新球団の「地域密着」を信用するまい。現在、地元財界でドーム建設の動きが始まっている。建設費総額200億円。楽天が本気で仙台を拠点にするつもりなら、この三分の一でも拠出してみればいい。

球界再編考(5) - 仙台「地域密着」球団の裏側_b0018539_18322.jpg確かに地図で日本列島を見渡してみたとき、エリアとしてプロ野球の本拠地を欠いているのは仙台だけで、新規参入球団が仙台をフランチャイズに指定するのは道理である。が、札幌で日ハムがファイターズを立ち上げたケースを仙台でそのまま応用できるかどうかは微妙に怪しい。金田正一の時代に二年間ほどロッテオリオンズが仙台を本拠地にしたが、遭えなく失敗して川崎に戻った。根づかなかったし、仙台市民側の未練も執着もなかった。例えば、福岡から今度ホークスが他の地に移転するとなれば、福岡と九州は天地鳴動の騒ぎになるだろう。しかしロッテオリオンズが仙台から去っても、地元からは特に球団の誘致運動は起きなかった。仙台の人間が好む文化財は基本的に東京ブランドのもの(すなわち巨人)なのであり、地元独自のものではないという恨みがある。文化的な独自性や独立性が相対的に弱いのだ。渡辺恒雄と三木谷浩史はそれを見越しているのではないか。
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by thessalonike | 2004-10-22 22:23 | 球界再編 ・ 岩隈移籍考(10)   INDEX  
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