本と映画と政治の批評
by thessalonike
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米大統領選考(1) - 絶望を輸出する選挙結果とその底流
b0018539_10321042.jpg大統領選挙の結果があのようになり、またあの顔の指導者が次の四年間を支配することになり、世界中が失望に包まれた。属州の臣民であれば投票権もなく、ただ歯噛みして鬱に沈むことしかできない。世界を暗澹とさせた米国民の選択を恨む。この四年間は嫌な四年間だった。最低の政治の下での四年間だった。またこれが続く。もっと嫌な最悪の四年間になるだろう。大事な人生の四年間を真っ暗な気分で過ごさなければならないかと思うと神経衰弱になる。調子に乗ってまた侵略戦争をやるだろう。対テロ戦争の名の下に中東支配を固めようとするだろう。次の標的はイランの石油だろう。パレスチナはどうなるのだろうか。今回のブッシュ再選の報を世界中で最も絶望的な気持ちで聞いていたのはパレスチナの人たちだと思うが、またこれで何千人かのパレスチナの無辜の民が殺戮される。本当に、ひょっとしたら民族絶滅の淵に追いやられるかも知れない。政治的主体性を根こそぎ奪われて、地図上から抹殺されてしまうかも知れない。



b0018539_10322738.jpgマイケル・ムーアはさぞ落胆しているだろう。敗北の打撃を堪える沈痛な表情が思い浮かぶ。よく健闘してくれたのに残念だ。候補者のジョン・ケリーではなく映画監督のマイケル・ムーアに労いの言葉をかけてやりたい。いい映画を見せてもらった。米国の自由な批判精神の証明。彼の批判精神があるからギリギリのところで米国への信用を維持できる。まだ若い。情熱を絶やすことなく悲憤から奮起して、何度でも告発と挑戦の映画作品を製作して欲しい。マイケル・ムーアは希望の星だ。今回の両候補を較べ見れば、政治の指導者としてはジョン・ケリーの方がはるかに有能であり、こちらを指導者に選んだ方が何十倍も米国民に幸福を齎せたことだろう。ビル・クリントンよりも卓越した政治手腕を発揮して世界を唸らせたに違いない。米国民はバカなことをしたものだ。ブッシュの信認と選択は、戦争と恐怖と破滅の選択であり、厄災と混乱の輸出である。米国民の今回の政治的選択はとても合理的な説明を与えることができない。頭がおかしくなっている。

b0018539_10325134.jpg米国に健全さが感じられず、異常さが目につくようになってから何年経つだろう。『マトリックス』もおかしいし、『ターミネーター』もおかしい。奇怪で異常で不健全だ。精神が怪しく病んで暴力的になり、心のホメオスタシスのバランスを失っているような感じがする。単に911テロ事件だけに説明根拠を還元できない何かがあるように思えてならない。米国民はなぜブッシュに投票したのだろうか。その論理はどういうもので、底流にある思想は何なのだろうか。テロへの恐怖とか、キリスト教原理主義とか、様々な指摘がなされているけれど、米国民の過半がブッシュに投票している事実に直面して、何かもう少し米国民全体の精神状況を掘り下げて抉出する視角が必要であるように思われてならない。二つの米国とか、深刻な亀裂とか言うけれど、米国は米国なのであり、決して人種や民族やイデオロギーで二つに分裂しているわけではない。都市と農村が二つに完全に分かれているわけでもない。ブッシュ的な独善と暴走を支持する何かが米国にある。

b0018539_10334256.jpg私なりに思うのは、それは破滅からの救済の心理なのではないかということだ。きわめてエゴイスティックではあるけれど、要するにこの地球環境の危機の中で、人類絶滅の可能性が科学的に見えてきた中で、何とか自分たちだけは、米国だけは、単独で助かって生き延びようという切迫した心理があるのではないかということだ。簡単に言えば、現代版のノアの箱舟。生き延びるための食糧と資源を米国だけに集中させて、優勢な武力でそれを奪い集め取って、他の地域の国々に滅亡してもらえばよい、他の国々の人間に死んでもらえばよいという思想である。地球上の人間を米国民とそれ以外に分割し、それ以外を米国に奉仕する奴隷にして、人間としての権利と自由を与えず、地球環境変化による厄災や資源枯渇による窮乏化を全て引き受けてもらおうという考え方。そうすれば、とりあえず自分たちは最後まで生き延びられるし、快適な生活の享受を将来に先延ばしすることができる。奴隷が人間になりたければ、自分たちの先祖のように、移住して苦労してグリーンカードを手に入れればよい。そういう思想だ。

b0018539_10335964.jpgそうした退嬰的で絶望的な意思なり諦観のようなものがブッシュ選択の思想的底流にあるように思えてならない。この地球環境危機の現実の中での彼らなりの問題解決の思想なのであり、その原型なり正当化根拠はヘブライズム(キリスト教)にある。地球環境問題の解決は、CO2削減でも森林保護でもいいが、地球総人口を半減させるザッハリヒなやり方でもいいのではないか、米国民と契約した神はそれをお認めになり、米国のみを地上の楽園とすることをお許しになるだろうという発想。イラク戦争は明らかに石油資源を略取するための侵略戦争であり、ブッシュ政権は残りの政権期間中に中東全域のオイルを支配して米国の管理下に置こうとするだろう。それを米国民は支持するだろう。彼らがケリーを支持しなかったのは、ケリーを選べば米国は他国との競争に負けて没落すると予感したからであり、生存競争上の危機の観念が彼らにケリー投票を躊躇させるのだ。単にテロ対策だけの問題ではない。公正に競争すれば中国や日本やインドに負けて没落し、米国が得べかりし利益と資源を持って行かれる。そういう(精神を病んだ)危機感が彼らの中にあるのだ。

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by thessalonike | 2004-11-05 23:06 | 米大統領選考ほか(5)   INDEX  
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