本と映画と政治の批評
by thessalonike
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カテゴリ:『シルミド』 (5)( 5 )
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韓国映画『シルミド』(1) - 実話と創作の間の中途半端さ
b0018539_1492320.jpgこの作品は映画館で見るつもりだったが、予想以上に公開日数が短くてロスしてしまった。DVDで見たのだが、率直な感想を言えば、『ブラザーフッド』の感動にははるかに遠く及ばない。『シュリ』や『JSA』を見たときのような面白さも感じなかった。鳥越俊太郎と長野智子がやっているテレビ朝日の『ザ・スクープ』特別番組でこの事件について詳しい紹介があったため、事前に話の全容が頭に入っていて、それが単に映像で再現されたというだけに終わってしまった。プラスアルファが無い。辛辣な評価を述べさせてもらえれば、監督の作り方が中途半端なのだ。ノンフィクションとして現代史を正確に描くのか、それとも登場人物の内面に踏み込んで観客の共感を呼ぶドラマにするのか、両方ともが不十分で中途半端に終わっているのである。正直に言って、これは監督の力量の問題だ。

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by thessalonike | 2004-10-28 20:20 | 『シルミド』 (5)   INDEX  
韓国映画『シルミド』(2) - リアリティと緊張感の欠如
b0018539_14191156.jpg映画『シルミド』について感じる問題点は、簡単に言えばリアリティの欠如である。実話の映画化であるにも関わらずリアリティがない。幾つか挙げてみよう。まず第一に、あの実尾島(シルミド)での部隊訓練の情景である。DVDで二度見たが、どこかの体育会系サークルのキャンプを見ているようで、とても軍の特殊部隊の訓練のようには見えない。山岳ランニングも、ロープを使った谷渡りも、何となく和気藹々とやっているように見える。顔が緩んでいて緊張感が感じられないのだ。隊長(チェ准尉)役を演じた演じたアン・ソンギが、来日した試写会の記者会見で、「訓練の場面も実際のものよりも過酷ではありません」と率直に語っている。私はこの映画の監督のカン・ウソクをどうも信用できない。『シルミド』の撮影では、ニュージ-ランド高地と地中海のマルタ島が海外ロケ地として使われているらしいが、あるいはこれは遊興目的の合宿旅行だったのではないのか。

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by thessalonike | 2004-10-27 22:47 | 『シルミド』 (5)   INDEX  
韓国映画『シルミド』(3) - 日本語字幕における粗雑と放漫
b0018539_13584119.jpgこの映画の問題点は他にもある。日本語字幕が酷い。あまりに粗雑だ。『シルミド』の翻訳については、他のブログでも貶されているのを見たが、些細な部分はともかく決定的に問題な場面が一箇所ある。それはあの「赤旗の歌」の字幕だ。この歌は、実尾島から脱走して隣の島の民家に押し入り、家にいた女を強姦して部隊に捕縛された不良訓練兵が、処刑前に四肢を木に吊るされた格好で全員の前で歌う。映画全体の中できわめて重要な位置にある歌であり、この歌と主人公の生い立ちの問題の二つがあるから、この映画がようやく内面的な中身を保持し得ているとさえ言える。脱走兵は死の前に唐突にこの歌を歌い、そしてその後、この歌はシルミド(訓練兵)部隊の歌になり、映画の中の大事な場面で三度歌い上げられる。バスで集団自決する直前もこの歌を仲間で歌う。

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by thessalonike | 2004-10-26 22:44 | 『シルミド』 (5)   INDEX  
韓国映画『シルミド』(4) - 事実の歪曲、歴史の捏造
b0018539_12243942.jpg『シルミド』に関してネットで収集できる日本語情報に接している間に重大な問題を幾つか知り及んだ。作品全体の評価を決定づける深刻な問題であるように思われる。映画だから、たとえ歴史的事実の再現と言っても、多少の脚色や演出はやむを得ない。だが、絶対にやってはいけないこともある。それは歴史の捏造と歪曲だ。真実を歪めてはいけない。この映画ではカン・ウソク監督がかなり意図的に事実の歪曲をやっている。最も重大な歪曲は、実際にはシルミドの684部隊に対して抹殺命令は下されておらず、事件は劣悪な待遇への不満から暴発した訓練兵の反乱であったという事実である。これは看過できない問題ではないか。映画では中央情報部が政治方針の転換を理由に部隊の抹殺を指令し、指導兵が訓練兵全員の射殺を決行する夜に、その情報を漏れ聞いた訓練兵が殺される前に相手を殺すべく蹶起する。

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by thessalonike | 2004-10-25 23:54 | 『シルミド』 (5)   INDEX  
韓国映画『シルミド』(5) - 俳優たちの演技について
『シルミド』のキャストの演技について論じたいが、評価は少し難しい部分がある。まず、主役を演じたソル・ギョングの来日試写会時の記者会見でのコメントから見てみよう。

b0018539_11575268.jpg韓国人というのは、南北間のイデオロギーについて敏感ですし、自信を持っています。韓国人であるならば、たとえ若くても南北のことに関して関心を持っています。その当時の時代的な状況、軍事独裁政権だったんですが、その当時の人ならば共感できることでしょうが、私がその当時に置かれていたら共感できなかったと思います。映画の中では、だいぶ表現を自制されていました。私としては共感できなかったと思います。劇中の生活は、十分に描かれていないですが地獄とかわらなかったでしょう。実際に事件のあったシルミ島で撮影しているなかでも、どんな思いでこの島にいたのだろうか?3年以上もの間、非常に残酷な状況の中で閉じ込められていて想像も出来ないような体験をしたのだと思います。


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by thessalonike | 2004-10-23 23:32 | 『シルミド』 (5)   INDEX  
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