本と映画と政治の批評
by thessalonike
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カテゴリ:歴史認識 (7)( 6 )
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歴史認識と自己認識 - ブリッジとしての司馬遼太郎
b0018539_14575721.jpg歴史教科書におけるナショナリズムの問題について考えつつ、それと密接に関連する問題として、歴史とは物語なのかどうかという議論に関心が向いて行く。歴史という知識や学問における物語性と科学性という問題をどのように整理して、納得的な暫定解を置けばよいのかという課題に逢着して、それを簡単に回避できない気分になるのである。歴史認識には物語と科学の二つの矛盾する要素が存在する。虚構と真実の問題と考えてもよいかも知れない。結論を急ぐ必要はないのだが、現在の歴史学が提供しているテキストが、過去の事実を全て間違いなく再現し構成した無謬のものだと考えるのは、あまりに早計で幼稚な知的態度であると言えるだろう。史料は新発見されるものであり、再発見されるものである。史料批判こそが歴史学であり、史料の価値と評価は時代によって変動する。同じ史料の意味づけが変わることで歴史認識が変わる。そして史料の意味転換を媒介するのは、多くの場合、時代の政治を反映した歴史学者の視角転換による。

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by thessalonike | 2005-06-20 23:30 | 歴史認識 (7)   INDEX  
国民主義的歴史認識の両極分解 - 脱構築と皇国史観
b0018539_15281323.jpg歴史認識とナショナリズムの問題についてさらに考察を続けたい。西尾幹ニの『国民の歴史』を読んだのは六年前である。初版第1刷を買った。774頁の分厚い本で、時間は少しかかったが最後まで読んだ。あれくらいの分量の本を最後まで読了することは滅多にない。前半に登場するところの漢字を仮名にする話が面白く、予想した以上の知的刺激があったので、後半もそういう興味深い話題が登場するのではないかと期待して最後まで読んでしまったのである。豈に図らんや後半は全く期待外れで、近世以降は全然面白くなく、近現代史は滅茶苦茶だった。これはあの本の読者の一般的感想ではないかと思われる。古代史、すなわち中華文明(中華帝国)から日本が古代国家として独立する歴史過程の叙述が斬新で説得的だったのである。その評価は現在でも変わらない。思想としての漢字文化を様式受容しつつ換骨奪胎し、時間をかけて仮名開発に成功、文化的独立を達成する問題への着眼は、西尾幹ニの方法的オリジナルではなく、他の研究者の所論を自説の如く展開しただけだったようだが、何れにせよインパクトのある議論であり、今後、さらにこの視角で研究分析が深められて行くことと思われる。

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by thessalonike | 2005-06-17 23:30 | 歴史認識 (7)   INDEX  
高文研 『日本・中国・韓国共同研究-未来をひらく歴史』 (3)
b0018539_16375896.jpgナショナリズムの歴史認識の問題について続けたい。明石書店から出ている韓国と中国の歴史教科書を立ち読みで読んだことがある。中韓それぞれ小学校、中学校、高等学校の歴史教科書が出版されていて、全部揃えれば六冊になる。商品として魅力的で食指が動くのだが、一冊の価格が三千円から六千円と高く、残念ながら貧乏人には手が出せない。仕方なく中学校と高校用の二冊ずつ計四冊を本屋で立ち読みした。立ち読みしたところでの感想を言うと、特に中国の歴史教科書は面白くて、いい感じの中身に仕上がっていた。TBSの『ブロードキャスター』の報道などでその強烈な「反日」傾向が槍玉に上げられ批判されていたので、相当に偏向したものを予想していたのだが、実際にはそのような記述は皆無だった。むしろ無さすぎて不満に感じたほどで、期待した抗日戦争に関する項もきわめて分量が少なく、過激な表現を探したこちらが落胆させられるほどだった。率直に言って中国の歴史教科書はとてもよく出来ている。過不足のない端正な社会科学の方法的センスが感じられ、何となく懐かしさのようなものを覚えさせられた。優秀な著者が自信を持って筆八分でサラリと書き纏めている。

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by thessalonike | 2005-06-16 23:30 | 歴史認識 (7)   INDEX  
高文研 『日本・中国・韓国共同研究-未来をひらく歴史』 (2)
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『未来をひらく歴史』は、日本の韓国併合過程での強制性の認定、皇民化政策を含む植民支配の問題点の批判、日本軍の“従軍慰安婦”の強制動員被害者、そして南京大虐殺などの中国側の被害などを特徴としているという点で、扶桑社の歴史教科書と異なる。しかし、執筆過程には様々な対立があった。自国中心の歴史認識に慣れている韓・中・日の執筆者達が集まって『未来をひらく歴史』を作る過程は、歴史的観点、時期区分の問題などに対する持続的な調整過程を必要とした。(略) 「日本側は明治維新を含む日本の主要事件を基準として時期を区分し、その時期ごとに3カ国の歴史がつながる関係を中心として記述することを提案した。しかし、韓国と中国の執筆者はこのような認識は日本が東アジアの近代・現代史の流れを導いたということを前提にするものであると判断し、日本中心の時期区分に反対した。日本側は韓国と中国の意見を収斂し『未来をひらく歴史』では、3カ国の各々の近代国家建設の過程及び侵略戦争などでの相互関係を考慮して記述された」 (5月27日 JANJAN)


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by thessalonike | 2005-06-15 23:30 | 歴史認識 (7)   INDEX  
高文研 『日本・中国・韓国共同研究-未来をひらく歴史』 (1)
b0018539_13231457.jpg神田三省堂本店のエスカレーターを上がった四階正面に新しく売れ筋コーナーが設置されていた。前にジュンク堂新宿店の紹介を書いたときに、そこの新刊コーナーのプレゼンテーションが秀逸だという話をした覚えがあるが、神田三省堂本店のこの試みも悪くない。四階人文書フロアのベスト10を紹介してくれているからである。神田三省堂本店の四階はやはり別格的な存在で、本を読む者にとってきわめて重要な情報発信基地である。神保町に一歩足を踏み入れれば、三省堂四階には必ず立ち寄りをしなければならない。そのコーナーで売上第一位の商品として紹介されていたのが、高文研の『日本・中国・韓国共同編集-未来をひらく歴史』だった。先月ネットでもニュースとして注目されていたが、時節がら販売好調のようである。定価1600円、全223頁。手頃な値段で買いやすく読みやすい。まだ全部を読み終えてないが、中身も予想以上に充実していて、これは間違いなくお勧めできる一冊だ。

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by thessalonike | 2005-06-14 23:30 | 歴史認識 (7)   INDEX  
歴史認識の共有とは何か - 日中共同声明における歴史認識
b0018539_9264194.jpg 8日の『報道2001』では「歴史認識は共通化できるものなのか」という問題をめぐっても、司会者の黒岩祐治と東海学園教授の葉千栄が突っ込んだ激しい討論に及ぶ場面があった。「そもそも二つの国で歴史認識を一致させることは不可能ではないか」と言う黒岩祐治に対して、「否、一致させることができる。それでは民主主義の価値について私とあなたでは認識を共有することはできないのか」と葉千栄が応じていた。『報道2001』は、目的と基調は悪質な右翼のプロパガンダだが、番組を製作している黒岩祐治の姿勢には多少納得できるところがある。議論の対立を視聴者にわかりやすく提示しようとする配慮があり、きちんと両方の立場の人間をスタジオに呼んでいる。田原総一朗のように、単に時の権力者にテレビで演説の機会を与えてやっているのではない。田原総一朗が権力者の方を見て、政治家の都合で番組を作っているのに対して、黒岩祐治はまだ視聴者の方を向いている。竹村健一がいなくなれば、もっと面白い番組になるだろう。

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by thessalonike | 2005-05-11 23:30 | 歴史認識 (7)   INDEX  
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