本と映画と政治の批評
by thessalonike
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<   2005年 06月 ( 22 )   > この月の画像一覧
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郵政民営化と植民地金融経済 - 市場原理主義者の論理と狂気
b0018539_12103870.jpgTBSラジオに亀井静香が登場して郵政民営化反対の論陣を張っていた。我々から見ればすでに周回遅れの過去の人のように見えるが、政治家というのは何歳になっても不気味に生き生きとしているから不思議な生きものだ。権力への夢はまだ捨てていないらしい。民営化反対の主張と論理は基本的に是とするべきものだろう。殆どのマスコミが言っているように、課題山積の現在の日本で、なぜ国会議員がこの問題でかかりきりになって時間とエネルギーを費やさねばならないのか国民は理解できない。小泉改革の総仕上げという触れ込みだが、小泉純一郎が首相になる前から、国民はこの男が(元気よくバカの一つ覚えで)連呼する郵政民営化の意味が理解できず首を傾げていた。意味の問題から先に結論すれば、金子勝が論評しているとおりで、郵貯を廃止して財投の蛇口を閉めると言っても、特殊法人の整理に手が着けられないかぎりは赤字国債が発行されて政府の無駄遣いはなくならない。財政改革の大義をもって郵政民営化を正当化する論法は詭弁である。

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by thessalonike | 2005-06-30 23:30 | 郵政民営化 ・ 総選挙 Ⅰ (15)   INDEX  
天皇陛下の平和外交 - 象徴天皇制の理念を具現化する陛下
b0018539_9403154.jpg天皇皇后両陛下のサイパン慰霊のTV報道を見ながら、感じたことを急ぎ書きたくなった。天皇陛下は立派である。この人にはありったけの賛辞を惜しみなく与えられる。例の韓国人戦没者慰霊塔への突然の弔問は天皇陛下ご自身の希望によるものだったと伝えられている。懼くそのとおりだろう。日程を隠したのは宮内庁の政治的配慮だと言う。天皇は最初から韓国人慰霊塔の訪問に前向きだったが、政府(官邸)がそれを快く認めようとせず、両者の妥協の結果として公式日程にはない電撃訪問の形式が採用されたのである。わが国の現政権がいかに右翼的で反動的な性格のものかがよくわかる。政府として天皇を韓国人慰霊塔に訪問させたのではなく、天皇が個人的に訪問したのだという既成事実にしたわけだ。例の「昭和天皇の靖国神社への私的訪問」の政治を想起させる。その政府を押し切って韓国人慰霊塔訪問を敢行した天皇陛下は立派だった。無能で失点だらけの政府外交を天皇陛下が必死にカバーしてくれている。

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by thessalonike | 2005-06-29 23:30 | 憲法 ・ 改憲 ・ 平和 (7)   INDEX  
現代版「慶安の御触書」としてのクールビズ - 格差固定の逆作用
b0018539_11554050.jpg梅雨明けの日程を三週間以上前にして、早くも日本列島に真夏の季節が襲来した。今年も暑い。政府のクールビズキャンペーンが始まってから一ヶ月が経ったが、電車の乗客や街を歩くサラリーマンを見ると、政府が囃し立てたようには普及は進捗していないように見える。外回りで事務所と得意先を移動している男たちは、皆、シャツの襟にネクタイを締め、そして上着を身に着けて、片手の携帯電話を玩具のように弄くっている。その姿は例年と変わることなく、クールビズのプロモーションなど何もなかったかのようである。最近、今回のクールビズは現代版「慶安御触書」ではないかと思えて仕方がない。慶安御触書というのは、中学校や高校の歴史教科書にも出てくるから誰でも知っていると思うが、徳川幕府が1649年(慶安2年)に発令した当時の農民の生活を統制するための法令であり、生活の細部にわたって禁止事項や奨励事項を小うるさく書き示している。酒・茶・煙草は飲むなとか、早起きして草を刈れとか、夜は縄をなえとか、米を食わずに雑穀を食えとか、遊び好きな嫁は離縁しろとか、年貢はきちんと納めろとかである。

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by thessalonike | 2005-06-28 23:28 | プロフィール ・ その他   INDEX  
韓国映画『スカーレット・レター』(2) - ラブシーンの映像表現
b0018539_1375163.jpg『スカーレット・レター』はイ・ウンジュの裸体の露出だけが売り物の低級な映画だったが、イ・ウンジュのエロスを作品のキーのコンテンツにするのなら、もう少し感動的で説得的な映像の製作を工夫して欲しかった。率直な感想を言えば、この監督は男と女の愛についてイマジネーションが貧困で、性を表現する知性に乏しく、アイディアを持っていない。ラブシーンがメインの映画なのだから、監督(ピョン・ヒョク)はそこで表現のアイディアを出さなくてはいけない。二人の会話の言葉にせよ、セックスに至るプロセスの演出にせよ、結ばれる体位やカメラワークにせよ、何をどう観客に見せるのか、見せたいのかというラブシーンのコンセプトがなければならない。この映画にはそれがなく、配慮されていたのはイ・ウンジュのスレンダーな肢体をどうやって胸と局部を隠してカメラに収めるかという工夫ばかりだった。イ・ウンジュの細い脚やくびれた腰の線は見事に映像になったが、主人公の二人が愛し合ったという確信はよく持てない。

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by thessalonike | 2005-06-27 23:04   INDEX  
イ・ウンジュの遺作『スカーレットレター』 - 韓国映画の性愛表現 
b0018539_11141018.jpgイ・ウンジュの遺作となった話題の作品『スカーレットレター』を有楽町シネカノンで見てきた。期待して劇場まで足を運んだのだが、残念ながら全く面白くなかった。韓国映画も全部が全部面白いわけではない。駄作も多い。これまで映画館で六本、DVDで四本、合計十本の韓国映画を見たけれど、面白かったのはそのうち五本で、題名を並べると、『シュリ』『JSA』『猟奇的な彼女』『ブラザーフッド』『スキャンダル』である。無論、ブログにも書いたように『ブラザーフッド』が圧倒的に抜きん出ている。残りの五本は面白くなかった。途中で見るのをやめた作品も二本ある。この作品はある殺人事件の謎解きを主軸にしたサスペンス・ミステリーだが、映画の売りはイ・ウンジュの裸体である。イ・ウンジュが脱いで大胆なラブシーンを演じ見せるというのが最大のセールスポイントであり、自殺事件とは無関係に、この作品が客を呼ぶバリューはそこにだけあったのだろうと思われる。韓国でこの映画がどのように評されているかは知らない。

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by thessalonike | 2005-06-24 23:30   INDEX  
日韓首脳会談によせて(3) - 靖国参拝派の巻き返しの政治
b0018539_1391771.jpg予想していた事だが、日韓首脳会談が終わった途端に、またぞろ国内右翼が活発に動き始め、靖国参拝貫徹論が息を吹き返して頭を擡げてきた。小泉帰国と同時にあの森岡正宏がまた公式の場で東京裁判無効論の暴言を放ち、その場で小泉首相の靖国参拝を強く求め、また安倍晋三も久しぶりに自分の顔をNHKニュースに登場させて、新追悼施設慎重論を茶の間に向けて流させた。森岡正宏が出席した超党派の「日本会議国会議員懇談会」は首相が引き続き靖国神社を参拝することを支持する決議を採択し、安倍晋三は当選一回から五回までの議員四○人余を集めて靖国参拝支持の勉強会を発足させる。靖国参拝派の巻き返しが始まった。昨夜の7時のニュースでは、驚いたことに神崎武法が新国立追悼施設調査費の予算化について、それを後退させる発言をしていた。裏で安倍晋三を中心とする参拝派の強烈な巻き返しが始まって、公明党に何か取引を策したのに違いない。都議選の候補者調整絡みか、それとも何か福祉予算関連の話か。

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by thessalonike | 2005-06-23 23:30 | 竹島問題・日韓関係 (8)   INDEX  
日韓首脳会談によせて(2) - 外務省を代筆する朝日新聞社説
b0018539_11235012.jpg6月22日は独ソ戦の開始日として記憶にあるが、1965年に日韓基本条約が締結された日でもあるらしい。条約締結四○周年を記念した記事が朝日新聞の社に上げられている。首脳会談の前から内容を準備していた記事のようで、タイミングを合せて紙面に掲載した感がある。首相の靖国参拝について日本の軍国主義復活を示すものではないと弁護した昨日の社説には驚愕させられたが、今日の社説もお粗末きわまりない。一言で言えば、これは外務省のメッセージの代筆である。20日に青瓦台で小泉首相が記者発表の席で読み上げた内容と同一の基調であり、日韓友好を演出して訴求する外務官僚の作文であり、すなわち欺瞞外交の謳歌礼賛である。朝日新聞とNHKはこの国の貴族として同僚の外務省と一心同体のように癒着している。社説は3月の盧武鉉大統領の日本批判を槍玉に上げ、また韓国に対して「韓国にも、過去の被害ばかりを振りかざさない寛容さがほしい」などと言っている。本質をスリカエた押しつけがましい言い分だ。

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by thessalonike | 2005-06-22 23:30 | 竹島問題・日韓関係 (8)   INDEX  
日韓首脳会談によせて - 欺瞞外交の終焉と朝日新聞の右傾化
b0018539_12274334.jpg昨日の日韓首脳会談について、日本の新聞各紙は単に「歴史認識の溝埋まらず」の上っ面だけの公式報道に終始していたが、海外のニュース記事を見ると、記者たちの関心を強く惹いたのは、むしろ会談そのものよりも会談に対して韓国の民衆が示した反応の方であったことがよくわかる。日本では映像を含めて殆ど情報が伝えられなかったが、ソウルの市民たちは小泉首相の訪韓に対して渾身から拒絶の意思を表明し、憤怒の感情を爆発させている。日本の指導者が韓国を訪問してこれほど激烈な反対行動が起きたのは、これまでの日韓関係の中で例の無い異常事態ではないか。抗議デモは複数発生している。APとAFPとロイターは、ソウルの日本文化センターの前で警官隊に逮捕される若者たちの姿を報じている。また日本大使館前にも抗議団体が押し寄せて、例によってライジングサン・バーニングの過激な絵が撮られている。小泉首相を乗せた車の車列が通る沿道にも大勢の市民が集結して、プラカードを掲げて抗議の声を上げていた。

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by thessalonike | 2005-06-21 23:30 | 竹島問題・日韓関係 (8)   INDEX  
歴史認識と自己認識 - ブリッジとしての司馬遼太郎
b0018539_14575721.jpg歴史教科書におけるナショナリズムの問題について考えつつ、それと密接に関連する問題として、歴史とは物語なのかどうかという議論に関心が向いて行く。歴史という知識や学問における物語性と科学性という問題をどのように整理して、納得的な暫定解を置けばよいのかという課題に逢着して、それを簡単に回避できない気分になるのである。歴史認識には物語と科学の二つの矛盾する要素が存在する。虚構と真実の問題と考えてもよいかも知れない。結論を急ぐ必要はないのだが、現在の歴史学が提供しているテキストが、過去の事実を全て間違いなく再現し構成した無謬のものだと考えるのは、あまりに早計で幼稚な知的態度であると言えるだろう。史料は新発見されるものであり、再発見されるものである。史料批判こそが歴史学であり、史料の価値と評価は時代によって変動する。同じ史料の意味づけが変わることで歴史認識が変わる。そして史料の意味転換を媒介するのは、多くの場合、時代の政治を反映した歴史学者の視角転換による。

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by thessalonike | 2005-06-20 23:30 | 歴史認識 (7)   INDEX  
国民主義的歴史認識の両極分解 - 脱構築と皇国史観
b0018539_15281323.jpg歴史認識とナショナリズムの問題についてさらに考察を続けたい。西尾幹ニの『国民の歴史』を読んだのは六年前である。初版第1刷を買った。774頁の分厚い本で、時間は少しかかったが最後まで読んだ。あれくらいの分量の本を最後まで読了することは滅多にない。前半に登場するところの漢字を仮名にする話が面白く、予想した以上の知的刺激があったので、後半もそういう興味深い話題が登場するのではないかと期待して最後まで読んでしまったのである。豈に図らんや後半は全く期待外れで、近世以降は全然面白くなく、近現代史は滅茶苦茶だった。これはあの本の読者の一般的感想ではないかと思われる。古代史、すなわち中華文明(中華帝国)から日本が古代国家として独立する歴史過程の叙述が斬新で説得的だったのである。その評価は現在でも変わらない。思想としての漢字文化を様式受容しつつ換骨奪胎し、時間をかけて仮名開発に成功、文化的独立を達成する問題への着眼は、西尾幹ニの方法的オリジナルではなく、他の研究者の所論を自説の如く展開しただけだったようだが、何れにせよインパクトのある議論であり、今後、さらにこの視角で研究分析が深められて行くことと思われる。

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by thessalonike | 2005-06-17 23:30 | 歴史認識 (7)   INDEX  
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