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韓国映画『ブラザーフッド』 (1) - 感動の大作      
b0018539_23295326.jpgもう一ヶ月以上前の話になるけれど、7月16日(金)と17日(土)の二日間、日比谷スカラ座に足を運んで、話題の韓国映画『ブラザーフッド』を見てきた。同じ映画を二日続けて見るのは最近はあまり記憶がない。期待を上回る大きな感動を与えられた作品だった。この映画は観客を感動させ泣かせる映画だが、泣かせると言っても、胸が熱くなるとか涙ぐむとかのレベルの感動ではない。この映画のラスト10分間のクライマックスに観客が示す自然な反応は、まさに号泣とか慟哭という言葉があらわす泣き方であり、ポロポロ涙を零すのではなくて、スクリーンに向かってオイオイと泣き声を上げる態度こそ好ましく適切な反応だと言える。『レッズ』以来で『レッズ』以上。



b0018539_2330236.jpgだからこの映画を見る者は、一緒に号泣してもいい相手を連れて行くのがいい。自分にとって最愛の人間を連れて行き、そこで大きな感動の時間を共有するのがいいと思う。六十代以上の世代なら夫婦二人で、四十代以上の者なら最愛の息子や娘と一緒に、二十代なら愛する者と一緒に行って、思い切り感動して号泣する自分の、初めての、あるいは久しぶりの姿を見せるのがいい。単なる趣味とか娯楽とかの映画観賞レベルでは済まない中身がある。座席に腰を下ろした者は、最初からカン・ジェギュ監督に心をグリップされたまま、ニ時間、グリップされた心を締めつけられたり揺さぶられたりして、最後に号泣して解放される。そして席を立つ時は、ここまで巨大な感動を与えられた幸福に深い感謝の気持ちを持つのだ。

b0018539_23303494.jpg私はこの映画をまさに待っていた。朝鮮戦争をテーマにした映画を長い間見たかった。ベトナム戦争についてはABCが製作した秀逸なドキュメンタリー大作がある。第二次大戦や太平洋戦争については、決定版はともかく、数だけは豊富にある。小説も無数にある。が、朝鮮戦争については見るべきものが特に無かった。NHKの『映像の世紀』などで何度も使われる短いモノクロフィルムしか見たことがない。あれだけ規模が大きく、犠牲者の数が甚だしく、二十世紀の戦争の歴史としても重要な位置づけにある朝鮮戦争の映像が、作品として再現構成されて一般に提供されないのが不思議だった。それの提供を待っていたのだ。そして『ブラザーフッド』は、その期待を裏切らず、むしろ期待を凌駕するクォリティの映像を提供してくれた。

b0018539_23304682.jpgこの二時間の映画の中では人が無数に死ぬ。無数の韓国朝鮮人が戦争で犠牲になる。夥しい死の世界が描かれる。これでもかこれでもかと監督は人を殺す。戦場で韓国兵を殺し、北朝鮮兵を殺し、市街戦に巻き込まれて死んだ平壌市民の大量の遺体や大量虐殺された北の村民の屍を映し出す。死んで死んで死にまくる。それはまさに朝鮮戦争が大量に人が死んだ戦争だった事実を監督があらためて世界に知らしめているのだ。朝鮮戦争の犠牲者数は北南あわせて三百万人とも四百万人とも言われる。殺し合いをしたのは同じ民族で、目の色や皮膚の色や言語が異なる別国家別民族の人間を殺したのではない。同じ民族が同じ民族を殺した。イデオロギーを理由にして殺戮し合った。監督はその真実にも焦点を当てている。


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2 イデオロギーの戦争
3 朝鮮戦争の戦場
4 俳優たちの圧倒的な演技
5 日韓の温度差について
6 暗喩された兄と弟
 
by thessalonike | 2004-09-06 23:30 | 『ブラザーフッド』 (6)   INDEX  
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