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ジャカルタ日中首脳会談の政治 - 靖国問題不言及の裏側
b0018539_9483389.jpg23日夜にジャカルタで行われた日中首脳会談では、最大の争点である靖国神社参拝問題について特に議論がなされず、具体的な問題の決着が図られなかった。会談は一日前の22日夜になってようやく開催の実現が決まっている。これを見ると、要するに、それがどういう会談だったのか、何をどう話し合ったのか、プレスに発表する中身をめぐって日中間でギリギリの段階まで交渉が続けられていて、中国側は靖国神社参拝問題での日本側の妥協を引き出す結果を求めて最後まで粘りながら、結局はそれを引き出せないまま会談に臨まざるを得なかったのが舞台裏の真相なのに違いない。アナン事務総長の働きかけもあり、ここで首脳会談の開催に応じず、日中間のさらなる関係悪化を国際社会に印象づけるのは、中国としても具合が悪かったのだろう。国際社会での中国不信が増幅する。「関係改善へ対話促進」という演出は双方ともに必要な外交措置で、中国側も事実上会談拒否の(最強硬)カ-ドは持ってなかった。



b0018539_9485233.jpg胡錦涛主席は、昨年11月にチリのサンチァゴで開かれたAPECでの日中首脳会談では、小泉首相に対して明確に靖国神社参拝中止を求めている。チリでは真っ向から靖国問題で日本に要求を突きつけたのだが、今回はそれを控えている。小泉総理はインドネシアに発つ前から、「首脳会談は非難の応酬の場にはしない」と繰り返し発言していて、対立ではなくて関係改善の演出を見せること、つまりチリのような厳しい討論の場にはせず、対立を避けて、丸く収まった形にする方針を早くから中国側に伝えていた。つまり、北京と上海での反日デモの違法暴力行為については追及しないから、その換わりに、靖国参拝問題で日本を非難することもしないでくれという外交取引のシグナルを送っていたことになる。後は、中国がそれに応じるかどうか、応じるとすれば具体的にどのような妥協内容で応じるかということだった。

b0018539_94938.jpg今回、中国は靖国参拝問題で具体的な外交成果を上げられなかった。また台湾問題についても、今年2月に中国側の警告を無視して李登輝前総統に査証発給した件について、日本側の釈明や陳謝を引き出せなかった。これは国内の共産党保守派にとっては失望であるに違いない。中国からすれば、対日外交では四年前に較べて一歩も二歩も中国側が不本意な後退を強いられ、日本の軍国主義の復活を許し、両国間の基本法である日中共同声明を骨抜きにされてしまっている。当然ながら、日本に対してヨリ強硬な姿勢を要求する声が高まり、五月四日や八月十五日に向けた反日抗議行動が勢いを増すことになるだろう。場合によっては政府の弱腰外交批判となり、胡錦涛失脚の事態にさえ発展しかねない。中国側が今回の妥協点(靖国不問)で折れたのは、榊原英資が言っていたように、経済問題(リセッション)の懸念があるからである。

b0018539_9491281.jpg関係改善のポーズは見せたが、実質的に何の関係改善にもなっていない。日本の外務省が強く希望したと思われる首脳の相互訪問も議題に上らなかった。当然の話だが、中国による日本の国連常任理事国入りのエンドースメントも無かった。会談後の記者会見がそれぞれ別の場所で行われているという状況自体が、この首脳会談の異様さをあらわし、関係の冷却ぶりを物語っている。記者会見で喋ったこと、つまり会談内容の説明についても、二人の話は共通の線に沿ったものではなく、中身として関係改善や対話促進を期待予想させるものではなかった。胡錦涛主席が会議で日本側に示したと言われる「五つの提案」の中には、第2項「侵略戦争を反省し、中国人民の感情を傷つけない」ことと、第3項「台湾独立の不支持」の二つがある。具体的な表現は避けているが、第2項が靖国神社参拝の中止要求であることは誰でもわかる。

b0018539_9492191.jpgチリで靖国参拝を具体的に非難され、そしてジャカルタでも上の提案要求を受けたあと、果たして小泉首相は靖国神社に公式参拝できるのだろうか。中国は(韓国も同じだが)日本に歴史の反省について、言葉ではなく実際の行動で示すように要請している。普通に考えれば、この環境で小泉首相が靖国神社に参拝するのは不可能だが、果たしてどう対処するつもりだろうか。小泉首相は「適切に判断する」としか言っていない。私の推測としては、日本外務省が事前の折衝で「事実としての年内の靖国不参拝」を中国側に打診して、それが江沢民と唐家旋に受け入れられて、今回の首脳会談開催(関係改善の演出)が実現したのではないかと考えている。公式な約束ではないから基本的にはいつでも覆すことはできる。が、今年は総理の靖国参拝はないだろう。小泉政権任期中の日中首脳相互訪問もない。両国関係は(経済も含めて)間違いなく冷却化に向かう。

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by thessalonike | 2005-04-26 23:30 | 中国の反日デモ (10)   INDEX  
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