人気ブログランキング |
中国共産党を反靖国のシンボルとして宣伝する右翼の政治詐術
b0018539_16115890.jpg掲示板やブログに多く見られる日本のネット右翼の言説として、靖国神社参拝中止の要求が、中国共産党や左翼勢力に特有な政治的主張であるように歪曲して宣伝している状況がある。この問題は基本的にイデオロギーの立場とは関係ない。簡単な例を上げれば、韓国国内で靖国反対を唱えて最も過激な抗議行動を展開しているのは、韓国の政治地図において座標面の左翼に位置する者ではなく、むしろ右翼にプロットされる勢力や団体であろう。抗議の現場で小指を切断してみたり、国旗を焼却する行為に及んでいるのは韓国の右翼の面々である。日本の右翼が靖国参拝反対の主張を共産主義のイデオロギーとパッケージにして演出し攻撃するのは、そのプロパガンダが世論へのインパクトとして効果があり、靖国参拝反対の議論を矮小化し、少数化、無力化する上で有効であるからだろう。即ち共産党シンパのレッテルを貼ることで、靖国参拝反対の声を上げようとする者の心理に動揺を与え、言論する意欲を萎縮させ、自己抑制を促し、現実的に少数派に追い込んで行く政治手法である。



b0018539_16114416.jpg靖国神社について論ずべき問題は多々あるが、まずはこの右翼の政治言説の虚偽性を暴露、証明する必要がある。学校教育でどれほど正確な知識や感性を得ていても、ネットの中でこれほど大量に右翼の宣伝情報が氾濫していては、普通の人間なら政治理性の均衡感覚を失ってしまう。政治は数であり、座標軸は多数によって位置が決まる。軸の位置は時代によって変動する。したがって自分が座標面の中心点に立地しようとすれば、常に周囲と全体とを見渡して、自分の立ち位置を左右に移動調節しなければならない。これは個人にとって社会環境の中で生存するための適応行動であり、同時にまた倫理的思想的な観点から見れば、保身であり変節であり転向である。早い話が、十五年前はこれほど多くの国会議員が小学生の遠足のように靖国神社を参拝する示威(デモ)に及ぶ事態もなかったわけで、当時は野党も世論もそれを許さず、朝日新聞は安んじてそれを批判することができた。積極的支持派は産経新聞などの少数派に限られ、靖国神社参拝の支持基盤は脆弱だった。

b0018539_16344639.jpg座標面を日本一国に限定して見れば、確かに靖国への賛否の問題は政治的立場の左右の問題とリンクしている。だが、この場合も見落としてはいけないのは、国内政治では政権与党である公明党の支持母体である創価学会が、国家神道を原理的に拒絶する宗教組織であるという重大な事実であり、また信徒数1千2百万と言われる浄土真宗の教団連合も首相の靖国参拝に強く反対し抗議していること、国内キリスト教団体の殆どが首相の靖国参拝に反対している等々の現実がある。要するに宗教関係者は反対なのだ。座標面を国内だけでなく海外に広げれば、事態は一転してイデオロギーの左右と靖国神社への賛否は論理的連関を失う。コミュニストだけが靖国神社に反対しているわけではない。靖国神社に象徴される日本の国家神道に反対の態度を示すのは、戦前に国家神道の教義の下で日本軍に侵略の被害を受けたアジア諸国の人々にとって共通のものである。右翼のプロパガンダとデマゴゴギーに対する一つの反論材料として、台湾の人々の靖国神社に対する態度の問題がある。

b0018539_16193237.jpg日本の右翼は台湾全体を親日であると一括規定し、共産党支配下の大陸中国と比較して、そこは常に自分たちの共鳴盤であり同盟者であると吹聴しているが、実際には全くそうではない。国民党は靖国神社を日本軍国主義の象徴として拒否の姿勢を明確にしている。今年4月に起きた台湾団結聯盟の蘇進強主席の靖国神社参拝事件に対して、台湾の国内世論は一斉に強く反発、第二野党親民党の宋楚瑜主席は、「台湾人兵士は戦争に参加することを自ら志願したものではない、植民統治時代の日本のために戦っただけで、台湾のために戦ったのではない」と言明。主要紙の一つ『聯合報』は、「台湾の尊厳を犠牲にして日本に台湾防衛への協力を交換しては、台湾の主体性を見失うことになる」と論じ、「反中」を大義にして日本支配時代を正当化してはいけないと主張、台湾の一部にある「媚日」傾向を痛烈に批判している。李登輝や金美齢や蔡焜燦だけが台湾の代表者ではないのだ。現在の中国の反日デモの動きは、いずれ遠くない将来、海峡を渡って台湾でも一陣の風となろう。

b0018539_1633790.jpg靖国に対するアンチシンボルを中国共産党や左翼に集中して反靖国を矮小化演出する右翼の政治詐術は、こうして韓国や台湾の事実を一つ二つ提出するだけで、いとも簡単に暴露され論理破綻することになる。靖国神社に対するアンチは、イデオロギーやナショナリズムの問題と言うよりも、むしろ戦前日本の軍国主義の戦争被害に生に直結した感情と主張であり、戦前日本の軍国主義を教理的に正当化した国家神道の中核に靖国神社があるからこそ、戦争と植民地支配で傷を受けた人々が靖国神社を嫌悪し拒絶するのである。靖国神社は日本の戦争主義のシンボルであって平和主義のシンボルではない。それを平和のシンボルであるかのように説教するのは右翼の嘘であり、頭の悪い日本人を騙すためのトラップトークであり、さらに言えば、頭は悪くないが保身のために内面の痛痒なく右へ変節したい日本人のために投薬される洗脳サプリメントである。反共の論理、それは70年前も現在も、日本を右翼国家主義の全体主義に統合する最も強力なツールとして機能する。騙されてはいけない。

b0018539_1630577.jpg

by thessalonike | 2005-04-25 23:48   INDEX  
<< ジャカルタ日中首脳会談の政治 ... Indexに戻る 右傾化日本を包囲する反日デモ ... >>