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非礼は中国なのか日本なのか - 参拝強行すれば拒否権発動
b0018539_9513832.jpg呉儀副首相会談キャンセル問題の余波が続いていて、日本側の「非礼」抗議に対して、中国側は帰国の理由は公務ではなく靖国問題であったことを認めた。事件の真相は後になって明らかになるだろう。非礼は中国なのか。本当は非礼は日本の方だったのではないのか。呉儀が来日し、小泉首相と会談が設定されたということは、その時点で会談後の記者発表の原稿が出来上がっていたということであり、日中関係改善について前向きな合意事項が双方で了解されたという意味である。そうでなければ呉儀副首相は絶対に日本へは来ない。中国首脳が来日する条件は、日本政府が靖国問題で中国政府の要求に理解を示して譲歩をすることである。靖国参拝の中止を明言せぬまでも、参拝実行が事実上不可能になる言葉を小泉首相が首脳会談の席で語ることである。そこまでの合意が裏で取れたからこそ、首脳である呉儀の来日が一年半ぶりに実現したのであって、そうした合意がなければ来日そのものがあり得ない。



b0018539_9515395.jpgところが京都会議以降の水面下の外交折衝と合意事項を破るかたちで、17日の呉儀来日直前の16日に、小泉首相は国会答弁で中国側の参拝中止要求は内政干渉だと開き直りの強硬発言を飛ばす。慌てた中国が合意事項を確認して詰めるべく武部勤を北京に呼んで最終調整したが、日本側はそこで事前合意を破棄して靖国問題での善処を反故にしたのである。それが21日から22日。中国側の呉儀帰国の最終決断は22日の深夜。東京の呉儀と北京の幹部の間で相談が続いて苦渋の決断の選択となった。東京と繋いだ回線は日本側に盗聴される恐れがあるのだが、私の推測では、呉儀と電話で連絡を取り合った幹部は唐家旋、王家瑞、そして胡錦濤の三名。昨日24日午前に流れた一部報道では、最終的にキャンセルを決断したのは呉儀本人だとも言われている。21日の北京での武部勤の話を聞いて激怒したに違いない。日本政府に挨拶もせずに帰国の途に着いたのは呉儀の怒りの凄まじさを示している。

b0018539_952780.jpgつまり呉儀が言いたいのは、勝手に帰国したのではなく、来日そのものが無かったのだということだろう。日本政府と外交の会談をするために中国の首脳が来日したという事実そのものが無かったのだという意思表示をしているのである。仮に今回の事件の舞台裏の真相がそうであったとしたならば、小泉首相の「話し合えばいいのにねえ」という発言は何という欺瞞と侮辱の言葉であろうか。真相は何れ明らかになる。中国とすれば煮え湯を飲まされた格好であり、日本に卑劣な裏切りを食わされたことになる。事前の外交折衝で「内政干渉論」が出ていれば、呉儀の来日は絶対になかった。王毅大使と日本外務省の官僚が必死に根回しをして、どうにか靖国問題について玉虫色のドラフトができ、ビザ発給拡大と温家宝訪日で明るい関係改善の外交演出が成功しかけていたのである。安倍晋三の巻き返しのようにも見えるが、外相の町村信孝が全てを計算づくて呉儀を日本に呼び出して罠に嵌めたというのが正解ではないか。

b0018539_9521873.jpg体面を徹底的に傷つけられた中国の怒りと失望は大きい。現在の日中二国間の外交は、日本の右翼が主導権を握って引き摺り回している。中国側からの妥協のアプローチが功を奏さないとなれば、中日友好の国是そのものを根本から見直さざるを得ない。韓国は方向転換の舵をすでに切った。韓国の対日外交の基本方針は日本覇権主義の復活阻止である。中国も早晩その路線に転換を果たすに違いない。放置すれば日本は戦前の超国家主義に回帰し、台湾独立と軍事衝突の謀略を仕掛けてくる。機に乗じて海底ガス田も武力で強奪するだろう。23日夕のフジのニュース番組で、安藤優子と木村太郎が「でもこれで小泉首相の靖国参拝は誰も文句を言われずにできるようになりましたね」と言っていた。中国側が外交非礼を犯したので、もはや靖国参拝を躊躇する理由や障害はなくなったと解説したのである。この週末も、右翼が牛耳る民放の政治番組では、同じプロパガンダのシャワーが視聴者に散布されることだろう。

b0018539_9523177.jpg右翼のプロパガンダに漬け込まれた日本国内の世論状況では、小泉首相の靖国参拝が容易になったという枉惑解説も可能かも知れない。だが、中国はそれを阻止するべくあらゆる外交手段を動員する。具体的に中国が持っているカードは日本の国連常任理事国入りに対する拒否権の発動だろう。最後の切り札であるが、もはや逡巡する段階ではない。これまで明言しなかった「靖国参拝強行なら拒否権発動」の外交カードを切ってくるに違いない。韓国と連携してニューヨークの国連外交の舞台でロビー活動を展開するだろうし、特にアナン事務総長に対して東アジアの歴史問題について啓蒙と説得を試みるだろう。中国の拒否権発動の正当性を固めるべく、秋までにアジア諸国の同調を集める外交を展開するだろう。韓国とシンガポールが中国を支持し、ロシアが消極的中立の立場を示せば、中国の拒否権発動の環境は十分となる。国連改革年の今年は戦後六十周年の記念年でもある。外交戦は8月15日が重要な結節点となる。

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by thessalonike | 2005-05-24 23:30 | 中国の反日デモ (10)   INDEX  
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