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中曽根康弘の変節 - 靖国か安保理か二者択一を迫った中国
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中曽根元首相、靖国参拝取りやめ求める (6月3日 朝日)

中曽根元首相は2日、都内であった後援団体の会合で講演し、小泉首相の靖国神社参拝について「個人的信条より国家利益を考えてやめるべきだ」と、参拝中止を求める考えを明確にした。 中曽根氏は「個人的信条と国家的利益を比較考量するのが総理大臣の仕事だ。個人的信念を通す誉れがいいのか、外交的障害を除くか」と問題を投げかけたうえで、「国連の常任理事国になろうというなら、2、3年前から、個人的信条を犠牲にしても中国、韓国との友好を長期的戦略として考えるべきだった」と述べた。 中曽根氏はまた、「小泉君がもっと早い段階で国益を考え自分はやめるといえば、やめぎわがよかった。それが国家の利益にプラスになるなら国民はわかる。やめる方が勇気を要するが、勇気のあることをするのが政治家だ」などと述べた。




b0018539_1115647.jpg中曽根康弘はつい最近まで参拝強行派の筆頭だったはずだが、なぜか急に方向転換して参拝中止論者になった。参拝反対世論が57%の多数を占めている現状を捉えての立場転換の表明だろうが、さすがに政界風見鶏と呼ばれたオポチュニストの本性は87歳になった現在でも往年と較べて些かも衰えがない。この変節は参拝賛成派にとっては手痛い一撃だろう。呉儀帰国と森岡発言の後、自民党の中で小泉首相の参拝に反対ないし慎重な姿勢を示す者が少しづつ増えつつある。河野洋平、古賀誠、宮沢喜一、橋本龍太郎、与謝野馨、加藤紘一など。中曽根康弘の態度転換は党内に大きな影響を与えるはずで、谷垣禎一や久間章生などの周辺もさらに参拝慎重論への傾斜を強めてゆくだろう。郵政民営化の問題と絡まって政局の火種になりつつある。連立を組む公明党も、ポスト小泉は中国や韓国と関係改善を図れる政権を期待している。靖国と郵政で反小泉包囲網が形成される可能性もあるだろう。

b0018539_1121050.jpg中曽根康弘が劇的に態度を変えた理由は、本人も述べているように、日本の国連安保理常任理事国入りの問題に尽きると言える。中国が拒否権を発動すれば、たとえ国連総会で日本が推進する安保理改革案が可決されたとしても、そこで日本の常任理事国入りの道は途絶される。現在は外交戦の真っ最中で、日本・ドイツ・インド・ブラジルの側が圧倒的多数の支持を得られるか、それとも韓国・パキスタン・メキシコ・イタリアの反対派に巻き返されるのか、ニューヨークの国連外交は微妙な情勢の下にある。絶対多数の政治環境を固めれば中国の拒否権発動を阻止できるが、数が均衡するようであれば中国は臆せず拒否権を発動できる。実際に拒否権発動という修羅場の局面になるのか、それとも五大国で再び改革案を流す方向に動かすのか読めないが、韓国が日本の常任理事国入りに反対している現実は非常に大きく、さらにシンガポールが靖国参拝に反対している点も少なからず情勢に影響を及ぼしている。

b0018539_1122182.jpgこれは私の推測だが、懼く王毅が中曽根康弘の私邸を極秘裏に訪ねて、ズバリ中国の真意を伝えたのだろう。小泉首相が参拝中止を明言するか、靖国神社からA級戦犯を分祀すれば、中国は日本の常任理事国入りを支持する。拒否権は行使しない。しかし小泉首相が靖国参拝の意思を撤回しないのならば、中国は韓国と共に日本の常任理事国入りに反対し、場合によっては拒否権の発動を辞さない。その旨をハッキリと伝え、中曽根康弘に参拝中止に向けての行動(変節)を懇請したのである。王毅を動かしたのは唐家旋であり、この政治は胡錦濤を含めた中国共産党政治局常務委員会、すなわち中国の最高権力機関のメンバーで議論され決定されたものだろう。中国の決断の内示である。同じ話は訪中する橋本龍太郎と野田毅にも伝えられるだろうし、王毅大使の深夜の訪問と説得は宮沢喜一の私邸にも及んでいたに違いない。靖国を取るか国連安保理を取るか、日本に二者択一の決断を迫ったのである。

b0018539_1123346.jpgそれはすなわち中曽根康弘時自身が二者択一を迫られたことでもある。安保理常任理事国を取るか、靖国神社参拝を取るか、中曽根康弘が決断して選択したのだ。中曽根康弘の風見鶏に対して国内では右翼のバッシングがあるだろう。中曽根康弘は王毅から国連総会での「票」の行方について途上国諸国の精密な裏情報を得たのかも知れない。町村信孝や安倍晋三や外務省幹部が口先で嘯いている甘い票読みとは違う厳しい情勢的現実を思い知らされたのかも知れない。中曽根康弘が死ぬまでにどうしても見たい政治は日本国憲法の改正であり、改憲を実現するためには安保理常任理事国になるのがベストでリーズナブルな経路である。そのことを中曽根康弘はよく理解している。もっとも安倍晋三の本心は最初から常任理事国入りは眼中になく、近隣諸国との有事の勃発によって改憲を実現する謀略路線なのだろうから、中曽根康弘ほど焦る必要はないのだろう。中国はそのこともよく知っている。結果はどう出るだろうか。

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by thessalonike | 2005-06-03 23:42 | 靖国問題 (10)   INDEX  
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