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日韓首脳会談によせて - 欺瞞外交の終焉と朝日新聞の右傾化
b0018539_12274334.jpg昨日の日韓首脳会談について、日本の新聞各紙は単に「歴史認識の溝埋まらず」の上っ面だけの公式報道に終始していたが、海外のニュース記事を見ると、記者たちの関心を強く惹いたのは、むしろ会談そのものよりも会談に対して韓国の民衆が示した反応の方であったことがよくわかる。日本では映像を含めて殆ど情報が伝えられなかったが、ソウルの市民たちは小泉首相の訪韓に対して渾身から拒絶の意思を表明し、憤怒の感情を爆発させている。日本の指導者が韓国を訪問してこれほど激烈な反対行動が起きたのは、これまでの日韓関係の中で例の無い異常事態ではないか。抗議デモは複数発生している。APとAFPとロイターは、ソウルの日本文化センターの前で警官隊に逮捕される若者たちの姿を報じている。また日本大使館前にも抗議団体が押し寄せて、例によってライジングサン・バーニングの過激な絵が撮られている。小泉首相を乗せた車の車列が通る沿道にも大勢の市民が集結して、プラカードを掲げて抗議の声を上げていた。



b0018539_12293344.jpgさらに青瓦台の近くでは小泉訪韓に抗議する高齢者の一団があり、その中の数人が小泉首相の乗った車に詰め寄ろうとして警備の警官隊に強制排除されている。また同じ青瓦台付近の路上では、85歳になる元従軍慰安婦の老婆が、警官隊の規制に阻まれながら小泉首相の車に向かって抗議の絶叫を上げていた。それらの生々しい出来事を外電の記者たちは至近距離で撮影取材して、今回の小泉訪韓に対する韓国民衆の怒りの凄まじさをありのままに自国と世界に配信している。固唾をのんでテレビを見守っていた韓国国民の前で、小泉首相は共同記者発表の末尾に、韓国の詩人の詩の一節を披露してうそ寒い「友好」を演出した。外務省の小役人の知恵だったのだろうが、完全に逆効果であり、小泉首相と日本に対する不信と怒りを一層増幅させたに違いない。ああいう欺瞞は韓国人の感情の最も奥深いところを傷つけるものであり、嫌みであり、韓国人を愚弄する侮辱である。友好の意思など欠片もないのに下手な芝居をするんじゃない。

b0018539_12294869.jpg韓国人はそう思っただろう。白々しく、佞悪な、狼が羊の顔を被って人を騙す日本の対韓外交に直面して、KBSも朝鮮日報も日韓首脳会談を報じる口調は憂鬱で冷淡なものになっていた。韓国人の日本に対する心は冷めて一つに固まった感がする。さて、今回の首脳会談について韓国側に何の意義もなかったかと言うと決してそうではなく、従来の欺瞞外交に幕が引かれたという意味では成果があったと言える。もはや臭いものに蓋をして表面上のきれいごとで体裁を繕う見せかけの外交演出は破綻したのであり、日韓両国は現在の政治的現実を直截に反映した厳しい緊張関係を公的に前提せざるを得ない。欺瞞外交を清算した点は韓国にとって重要な前進である。今回、竹島問題が会談のテーマにならなかった。この点は裏を観察する者にとっては注目すべきポイントで、私の推測だが、竹島問題を議題にしなかった事と盧武鉉大統領が靖国神社参拝について直接に中止を要求せず、間接的に中止を求める発言に抑えた事とは関係があるように思われる。

b0018539_1230398.jpg懼くこの二つは取引だろう。首脳会談開催前から両政府の間では熾烈な情報戦が展開されていて、何を議題にするか、何を合意としてステートメントするかで応酬が続けられていた。靖国問題で窮地に追い込まれていた日本側が叩き帰した反撃の一打が、「竹島問題を国際司法裁判所に付託するぞ」の脅迫だったに違いない。この話は先週のどこかで小さく官房長官談話か何かで漏らした一言だったが、韓国政府に向けて放った逆襲のカードだったのである。韓国は現時点では竹島問題を国際紛争として公式に問題化させたくない。第三者が入って国際法の観点から裁かれれば韓国に不利になると判断している。だから竹島問題の議題化を避けようとしたのであり、そのため靖国問題で日本側に譲歩せざるを得なかったのである。「歴史問題の核心」である靖国問題、その参拝の中止要求を「間接的な表現」に止めざるを得ず、新追悼慰霊施設建立についても「検討する」という以上の言質を取れなかったのは、韓国にとって臍を噛む思いであっただろう。

b0018539_12301879.jpg今回の首脳会談を経て、韓国の人々の反日感情は一段と強いものになったはずで、場合によっては中国と同じような反日デモや不買運動も発生する事態さえ予想される。そして日本人にはそのことについて危機感が殆どない。今朝の朝日新聞には酷い社説が書かれていて失望させられた。「韓国側も歴史認識での主張に重きを置きたいのは分かるが、こじれた関係をどう打開するのか建設的なアプローチも考えられないか。首相の靖国参拝を日本の軍国主義化に短絡させたり、竹島条例をめぐって過熱したりする韓国世論をただす努力も見せてもらいたい」とある。思わず産経新聞の社説かと目を疑った。朝日新聞の認識では小泉首相の靖国参拝は日本の軍国主義復活の兆候ではないのだ。この社説を書いた論説委員は、自分の新聞社が十年前に靖国についてどんな記事を書いていたのか読み返すべきである。朝日の社説は韓国人も注意して見ている。朝日新聞の転向は韓国中国人にとっても衝撃だろうし、日本の右傾化の不可逆性をあらめて確信する象徴的な一事だろう。

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by thessalonike | 2005-06-21 23:30 | 竹島問題・日韓関係 (8)   INDEX  
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