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日韓首脳会談によせて(2) - 外務省を代筆する朝日新聞社説
b0018539_11235012.jpg6月22日は独ソ戦の開始日として記憶にあるが、1965年に日韓基本条約が締結された日でもあるらしい。条約締結四○周年を記念した記事が朝日新聞の社に上げられている。首脳会談の前から内容を準備していた記事のようで、タイミングを合せて紙面に掲載した感がある。首相の靖国参拝について日本の軍国主義復活を示すものではないと弁護した昨日の社説には驚愕させられたが、今日の社説もお粗末きわまりない。一言で言えば、これは外務省のメッセージの代筆である。20日に青瓦台で小泉首相が記者発表の席で読み上げた内容と同一の基調であり、日韓友好を演出して訴求する外務官僚の作文であり、すなわち欺瞞外交の謳歌礼賛である。朝日新聞とNHKはこの国の貴族として同僚の外務省と一心同体のように癒着している。社説は3月の盧武鉉大統領の日本批判を槍玉に上げ、また韓国に対して「韓国にも、過去の被害ばかりを振りかざさない寛容さがほしい」などと言っている。本質をスリカエた押しつけがましい言い分だ。



b0018539_1121062.jpgこれを読んだ韓国の国民は二日続けて朝日新聞と日本に失望し幻滅を覚えることだろう。朝日新聞は日本のジャーナリズムの良識を代表するクォリティペーパーとして(相当に過大な評価だが)世界に名前が知られている。その朝日新聞が外務省の代筆を率先して買って出ているわけで、韓国市民からすれば、常に韓国に対して優越を自慢する日本の民度なりジャーナリズムの水準もせいぜいその程度かと苦笑してしまうところだろう。この社説の言わんとするところは、日韓両国は過去から引きずる厄介な問題がいろいろあるが、文化的にも経済的にも交流は深化と拡大を遂げているのだから、互いに自重して仲良くやって行くべきであるという訓導的一般論である。済州島会談や指宿会談のときの無内容なブリーフィングと同じであり、当時の欺瞞外交を懐かしむ心境が吐露された国民への小言である。日韓外交をバブルな演出主義の欺瞞外交に戻したい外務官僚のボヤキであり、それを仲間の朝日新聞幹部が代筆して国民に説教している。

b0018539_11211662.jpgこの社説の根本的な問題は、現在の日韓の不正常な関係が双方に原因があると決めつけていることであり、そして恰も貴族である朝日新聞が「公平中立」講壇的な高みから調停者の言葉を吐くようにして、尊大かつ無責任な態度で事態を見下ろしていることである。深刻で切実な外交危機を捉えるジャーナリズムの感性や視点がまるでなく、外務官僚が言うような空疎な玉虫文言を並べておけばそれが見識の表明だと勘違いしている。こういう貴族のうわべ飾り的な日韓関係論は、総理大臣が加藤紘一や田中真紀子や菅直人であったなら、まだしも格好がついて座りよく響くものである。周辺国からの非難を無視して靖国参拝を強行する小泉政権が迎えた日韓基本条約四○周年論として、全く不適切でピント外れもいいところなのだ。朝日新聞は何も考えておらず、政治意思も持たず、ただ日本の政治世論の中で「中立」のポジションを取るために右往左往しているように見える。主観的には右往左往だが、客観的には明らかにズルズルと右へ足場を移している。

b0018539_11213534.jpg外務省がやりたい日韓友好外交は、それを本来の原則と方針どおりに実行する政権が必要なのであり、小泉純一郎や町村信孝や安倍晋三のような右翼が政権を壟断している場合には、それは悪質な欺瞞外交以外のものにはならず、実態として真の友好とは対極の方向へ日韓両国民を導いて行かざるを得ない。小泉純一郎も町村信孝も安倍晋三も麻生太郎も中川昭一も片山虎之助も、政権中枢の自民党幹部は皆、日本の朝鮮半島に対する過去の植民地支配を悪い事だとは思っていないのであり、過去の反省の意識など露ほども持っていないのである。村山談話を含めた日本政府の「謝罪と反省」の原則論は、鬱陶しくて吐き捨てたいと思いながらも我慢して体裁を繕うために利用している一時の方便なのであり、いずれ憲法改正した暁には、日中共同声明も村山談話も一気に反故にしてやろうと考えている「戦後民主主義の負の外交遺産」なのである。彼らはそうしたイデオロギーの持ち主であり、政治目標を持った右翼なのだ。

b0018539_11252252.jpgそうしたイデオロギーの持ち主だからこそ靖国神社に参拝するのであり、日本国憲法の体制と戦後民主主義の原理を破却して国家を1945年以前の大日本帝国に原状回帰させることが目的なのである。靖国参拝は慰霊のためではない。それは政治的な口実である。靖国参拝は戦後民主主義を否定する政治行動であり、政府による戦後民主主義否定を既成事実化して日本国の内側を完全に戦前化するために彼らは参拝を続けているのである。靖国参拝によって(口ではなく行動で)村山談話を否定破約しているのだ。参拝そのものが目的ではない。日本の政治体制を戦前に戻すため、そしてその(事実上の)体制復古を中国と韓国に宣告するために靖国に参拝するのである。朝日新聞はそのイデオロギー的事実を知りながら、それを見ないフリをして黙過し、逆に喧嘩両成敗を気取って韓国側を批判して場を収めようとしている。靖国神社を軍国主義の象徴と見なさない朝日新聞は戦前の朝日新聞と同じである。終戦時の反省は忘れたのか。

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by thessalonike | 2005-06-22 23:30 | 竹島問題・日韓関係 (8)   INDEX  
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