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日韓首脳会談によせて(3) - 靖国参拝派の巻き返しの政治
b0018539_1391771.jpg予想していた事だが、日韓首脳会談が終わった途端に、またぞろ国内右翼が活発に動き始め、靖国参拝貫徹論が息を吹き返して頭を擡げてきた。小泉帰国と同時にあの森岡正宏がまた公式の場で東京裁判無効論の暴言を放ち、その場で小泉首相の靖国参拝を強く求め、また安倍晋三も久しぶりに自分の顔をNHKニュースに登場させて、新追悼施設慎重論を茶の間に向けて流させた。森岡正宏が出席した超党派の「日本会議国会議員懇談会」は首相が引き続き靖国神社を参拝することを支持する決議を採択し、安倍晋三は当選一回から五回までの議員四○人余を集めて靖国参拝支持の勉強会を発足させる。靖国参拝派の巻き返しが始まった。昨夜の7時のニュースでは、驚いたことに神崎武法が新国立追悼施設調査費の予算化について、それを後退させる発言をしていた。裏で安倍晋三を中心とする参拝派の強烈な巻き返しが始まって、公明党に何か取引を策したのに違いない。都議選の候補者調整絡みか、それとも何か福祉予算関連の話か。



b0018539_1394144.jpg冬柴鉄三と武部勤が『サンデープロジェクト』に出演して、国立追悼施設調査費の来年度予算計上を合意したのは、わずか五日前の今週日曜日の出来事である。この調査費予算化の一線だけは公明党のデッドラインかと思っていたが、日韓首脳会談の政治日程を通過した瞬間にあっさり切り崩された。意外であり、公明党の信念の薄弱さと参拝派右翼の巻き返しの強さに恐れ入る。呉儀キャンセル事件の後、日韓首脳会談までの四週間、参拝中止を求める国民世論が高まって参拝派は政治的窮地に追い込まれていた。まず読売新聞が社説で小泉首相に参拝中止を要請し、歩調を合せて中曽根康弘が参拝反対派に転じた。さらに河野洋平の周旋で宮沢喜一や橋本龍太郎や森喜朗が慎重論の立場を徐々に明確にするようになり、これらの動きに揺さぶられるように高村正彦や武部勤が新追悼施設論(分祀論)を積極的に切り出すようになっていた。郵政民営化法案の政局もあり、靖国問題で小泉首相が強く開き直れる状況は消えていた。

b0018539_1310186.jpg状況は参拝派不利ですっかり固まり、年内参拝は事実上断念で押し切られたかのような気配も漂っていたが、ここへ来てまた巻き返しの動きが強まり、首相の靖国参拝は再び予断を許さない情勢になった。19日の硫黄島戦没者追悼式への出席、そして23日の沖縄戦没者追悼式への出席は、8月15日の靖国参拝決行に向けての布石的演出ではないかと言われている。米国のG4案反対意思表明によって国連安保理常任理事国入りがほぼ絶望的な趨勢となり、ある意味で小泉外交は中国韓国に対して気楽な状態になった。国連問題が靖国参拝の障害ではなくなったとすれば、中国が最後の切り札としていた常任理支持は靖国参拝を阻止するカードとして機能しなくなったことを意味する。風見鶏大勲位が小泉首相の靖国参拝中止に転じたのも、戦後日本の悲願としての国連常任理事国入りの大義(国益)を前にしての「背に腹は」の選択であったわけで、その条件が失われてしまえば、保守側の靖国中止論は急速に勢いを萎ませる可能性がある。

b0018539_13101692.jpg韓国と中国は参拝中止をまだ諦めてはいない。特に中国はこれを絶対に阻止しなければならず、あらゆる手段を動員するだろう。日本国首相の靖国神社参拝が既成事実化され恒久的に常態化されることは、中国にとって日中共同声明が死文化されることを意味する。中日友好の二国間関係に終止符が打たれて日本との間で冷戦に入る事態を意味する。そして小泉純一郎ら右翼はまさに日中共同声明を事実上破棄(解釈改憲)したいのであり、仮想敵化した中韓と冷戦に入ることを目論んでいる。大日本帝国の原状に回帰するとはそういうことだ。日本国内で平和憲法の解釈改憲(すなわち戦後民主主義の原理と体制の殲滅)をほぼ遂行した右翼は、今度は平和憲法の原理下で構築された外交関係の粉砕と清算をめざしているのであり、具体的な目標は日中共同声明村山談話の破棄(空文化)である。今回の政治は日本の右翼が常に主導権を握って中韓を引きずり回している。中韓のナショナリズムが問題の発端でもなければ主因でもない。強烈な政治意思を持って先手を仕掛けているのは日本の右翼であり、その槓桿が靖国神社なのである。

b0018539_13102742.jpg中韓のナショナリズムは日本の復古的な右翼国家主義の台頭に対するカウンター・ナショナリズムである。日本のマスコミが過剰宣伝する中韓のナショナリズムは、実はカウンター・ナショナリズムであり、大日本帝国復活の脅威に反応した中韓国民の恐怖と憎悪の感情のストレートな表出である。過去に植民地支配や侵略戦争の被害を受けた隣国の国民であれば、日本で右翼が政権を支配すれば緊張して防衛意識が高揚するのは当然のことだろう。ドイツでネオナチが台頭した時のポーランドやフランスを想像すればよい。小泉純一郎や安倍晋三は平和憲法を廃棄処分して日本を大日本帝国の原点に神聖回帰させようとしている。それが右翼の政治目標であり政治理念である。大日本帝国は朝鮮半島を植民地化し中国に侵略戦争を行った兇悪な侵略国家であった。小泉純一郎や安倍晋三がその政治思想を捨てるか、あるいは政権から排除されないかぎり、中韓の国民が日本に対する憂慮と警戒を解くことはできない。盧武鉉はすでに日本の現在の政治に対して覇権主義という言葉を使っている。そしてその言葉は現実の認識として正確であり間違っていない。
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by thessalonike | 2005-06-23 23:30 | 竹島問題・日韓関係 (8)   INDEX  
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