AMDによるインテル提訴 - 営業妨害の争点と裁判の予想
b0018539_11564177.jpg日本AMD株式会社は6月30日、東京高等裁判所(東京高裁)および東京地方裁判所(東京地裁)に対して、インテル株式会社に対する損害賠償請求を2件提起した。 (略) この訴状には、国内PCメーカーに対して資金提供などを条件にカタログやWebサイトからAMD製プロセッサを搭載したモデルを削除するよう指示したこと、AMDの新製品発表会に参加を予定していた顧客に圧力をかけ参加を辞退させたこと、などの妨害行為があったと記載しているという。 さらに、あるイベントにおいてAMD製CPUを搭載したPCをインテルが全台買い取り、代わりにインテル製CPUを搭載したPCを無償提供したこと、PC雑誌編集者に対して圧力をかけ、雑誌に掲載を予定されていたAMD製CPUに関する記載を削除させたり、性能評価記事の内容などを修正させたともしている。これらの行為の具体的な内容は明らかにされてないが顧問弁護士は「それなりの具体的な事実をつかんでいる」としている。  (6月30日 Enterprise Watch




b0018539_1157082.jpg3月8日の公正取引委員会によるインテルに対する排除勧告の報道のあと、この問題の成り行きに注目していたが、AMDが訴訟を起こす事態となった。昨日から今日にかけて関連する情報がネット上に氾濫している。AMDの弁護士によれば裁判は早期に決着するだろうという見方が示されていて、今後の公判情報に注目したいが、特にこの中で気になったのは、インテルによるAMDに対する営業妨害についての生々しい告発の件(くだり)である。訴状では、国内のPCメーカーに対して資金提供を条件にカタログからAMD搭載製品の記載を削除させたことや、メーカーに圧力をかけてAMDの新製品発表会への参加を辞退させたこと、雑誌に圧力をかけてAMDの記事の掲載を削除させたこと等のインテルの営業妨害行為が列挙されている。インテルが割戻金を条件にして国内メーカーに圧力をかけ、PCの設計製造からAMDを閉め出してそのシェアを10%以下に抑えるよう働きかけた違法行為については、公取委の勧告本文の中で縷々述べられている。

b0018539_1157161.jpgだが、単に営業現場における直接商取引の不正行為に止まらず、もっと広範囲に、いわゆるサードパーティのレベルまで巻き込んで、AMDに対して様々な妨害行為が行われていた点が暴露されたのは今回が初めてであり、それが事実であれば悪質で由々しき事態と言わざるを得ない。現在までインテルのコメントは発表されてないようだが、もしAMDの暴露が事実無根であるとすれば、即、AMDによるインテルに対する名誉毀損と信用侵害の事件となり、当然、インテルはAMDを逆に告訴しなければならない。インテル日本法人がAMDを告訴せず沈黙を守り続けたとすれば、AMDが言っているようなマーケティング場面における営業妨害行為が実際にあった疑惑を認めることになる。とすれば今回の裁判にも大いに影響を及ぼす展開になるだろうし、インテルに不利になることは間違いない。昨日の記者発表の席では、雑誌記事に圧力をかけた問題について記者から具体的に提示しろという質問と要求が出されたらしいが、AMDはその場での事実の開示を避けている

b0018539_1202560.jpg記者発表の席には弁護士も二名同席して質疑に立ち会っており、普通に考えれば、この場でAMDが、後で名誉毀損の刑事責任を問われるような違法行為を犯すはずがない。つまり妨害行為の事実については証拠を掴んでおり、証人が出廷して全てを証言しますよという意思表示がなされたわけであり、AMDの裁判への自信を示している。一般のPCユーザとすれば、エクセレントカンパニーでありIT業界のリーダーであるインテルの異常な営業妨害疑惑について関心を持つ。ぜひAMDは裁判を取り下げず、また中途半端に和解せず、最後の判決まで完遂して、上の告発内容の立証に努めてもらいたい。もしインテルがAMDの告発内容を全て認めるのであれば、速やかにその旨を公表して、AMDに対してのみならず顧客と業界に対して反省と謝罪と補償の意を明らかにすべきであろう。また内容はどうあれ、そして裁判への影響はどうあれ、インテルは企業としてこの問題について社会一般の前に出て、しかるべく説明責任を果たす必要があると思われる。

b0018539_11574585.jpg公取委の排除勧告に対して、インテルは、勧告は応諾するが指摘された事実は認めないという態度に出ていた。非常に分かりにくいが、事実を認めるとそのままAMDに対する損害賠償責任が発生する懸念があったから否定したのだろう。裁判ではその一個一個の事実の中身が審問される。今回の勧告の件ではインテルに対して公取委が何らかの制裁を加えることは不可能という話になっている。この点が少し疑問に思うところだが、例えば官庁や地方公共団体や学校などの競争入札からインテルCPU搭載のPCを排除するなどの措置が取れないのだろうか。何れにせよ、公取委の調査と勧告があり、それに応諾した事実まである以上、AMDに対する営業妨害を裁判で覆すのは相当に難しいのではないか。米国の方は分からないが、日本では公取委排除勧告という実績がある。裁判所がインテル勝訴の判決を出そうとすれば、公取委の調査と勧告をご破算にしなくてはいけない。インテルとしてはAMDに訴訟を取り下げてもらうよう働きかける以外にないのではないか。
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by thessalonike | 2005-07-01 23:30 | プロフィール ・ その他   INDEX  
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