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郵政民営化と靖国参拝 - 一石二鳥と政界再編の解散総選挙
b0018539_22444297.jpg昨日の郵政民営化法案可決劇の報道で面白かったのは、『報道ステーション』で特集された城内実の造反茶番劇の一幕である。ご覧になった方も多いと思うが、コントを見ているようで爆笑してしまった。城内実は森派所属の当選一回議員で、静岡七区選出の四○歳。採決の前に議場席で「どうしよう、どうしよう」と手を震わせ、机に顔を伏せたり上げたりして、迷い抜い抜いている様子を露に表現した。あまり目立つので、「迷っている若い議員がいるぞ、あれは誰だ」という話になり、テレビ朝日が撮ったのである。するとお誂え向きに親分の安倍晋三がノコノコやって来て、城内実を議場の後方に連れ出し、バカな真似はするんじゃないと釘を刺す場面まであった。結局、安倍晋三の説得の甲斐なく城内実は青票を投じ、採決後にはテレビ朝日のインタビューで「安倍政権実現のために粉骨砕身させていただきますと申し上げました」とシラッと言いのけた。若いのに芸達者な男である。古館伊知郎の話では、城内実の後援会の有力者が特定郵便局長会の大物なのだと言う。城内実にとっては最高の票決結果となった。



b0018539_2394268.jpg城内実は全て計算づくで演技をしたのである。民放のテレビカメラに自分を撮らせたのだ。「迷っているぞ、迷っているぞ」と大袈裟に身振り手振りを見せて、四八〇人がいる本会議場の中で自分一人をカメラが捉えて離さないように熱演したのだ。目立つための道化芝居。当選一回議員だから選挙基盤が弱く、後援者の意向に簡単に背けない。しかし派閥の親分にも逆らえない。難しい選択を強いられたという立場説明を全身でアピールして、テレビを見る者の注目と同情を巧妙に誘い込んだ。選挙区の有権者は城内実を責めない。むしろ納得する。年配の女性有権者などは、城内実の政治家としての幼さを見て「かわいい」と感じたのではないか。一般の視聴者の中には城内実の未熟さや優柔不断を嘲笑した向きも多かっただろうが、それは政治を知らない普通の人間の感覚である。派閥の領袖である森善朗などは、むしろ城内実のパフォーマンスを見ながら、政治家にとって必須の資質である抜け目のなさに感心したに違いない。あの『関ヶ原』での山内一豊を想起させる。遠州男の血は争えない。

b0018539_1623961.jpg私は参院での(今国会中の)法案採決はないと予想している。採決を強行すれば本当に否決の事態になる。参院執行部は、票を確実に読めない情勢下では、採決を回避して継続審議に回そうと模索するに違いない。小泉首相と調整を図り、衆院解散を断念させるべく追い込んで行くだろう。秋の臨時国会で再修正という骨抜き決着を飲ませようと詰めるだろう。「法案成立」の名を取らせて「民営化」の実を捨てさせる策である。そこに竹中平蔵の進退(不信任)問題を絡ませる。民主党も竹中不信任を軸に動きつつ、参院での法案否決の可能性を追いかける。そのとき、靖国参拝の政局が蓋い被さる。実は今は郵政民営化法案の成立の可否に世間の目が一時的に集まっているが、参院で審議が始まって世の中が夏休みになる頃には郵政民営化は関心の外になる。それに代わって靖国参拝が政治争点の中心に再び浮上する。喧々諤々の議論になり、8月15日に参拝を強行するかどうかに世界中の注目が集まるだろう。どこかの時点で決断をしなければならない。そしてその時期は国会の会期末(お盆)と重なる。

b0018539_22574449.jpg私の予想では、小泉首相は靖国問題を郵政民営化に最大限利用するべく動くに違いない。参拝するかしないか、決行するにせよしないにせよ、その駆け引きの中で「中国韓国から不当に苛められている日本」という状況を演出して国内のナショナリズム感情を煽り、小泉人気を復活させるべく立ち回るだろう。つまり、郵政問題では小泉首相に反対している者でも、靖国問題では小泉首相支持という者は多くいる。具体的には森岡正宏がそうだ。郵政問題と靖国問題はそれぞれの政治家の立場を合一させたり反目させたりする。一つの同じ立場に重ならない。郵政問題で結束して小泉政権に反対している民主党でも、党内に参拝賛成派と参拝反対派の二つがある。その対立を際立たせるように仕掛ければ、郵政問題での小泉政権の苦境と窮状が背景に退く。そのような効果が出る。今は小泉政権に逆風が吹き始め、レイムダックが言われ始めているが、靖国問題を契機にして再び「小泉以外にない」という多数世論を操作醸成する魔術は不可能ではない。ポスト小泉に有力な人材はなく、民主党さえ割ればよい。

b0018539_16234112.jpgマスコミを使って民主党の混乱や弱体を騒ぎ立てればいいわけで、世論を掻き回す梃子として靖国問題を使えばよいのである。それに成功すれば再び衆院解散は武器になる。自民党内の反対派を脅して締め上げることができる。「今、解散して選挙をすれば小泉自民党の勝利」という政治環境を仮想演出すればよい。その状況演出の下で強気に出て法案を可決成立させればよい。小泉首相はどこかでそのような博打に出るのではないか。例えばのシナリオだが、9日の長崎での慰霊式典を終えた直後に15日の靖国参拝を宣言する。韓国と中国からの非難が轟々と渦巻き、国内の世論が真っ二つ割れて世の中が騒然とする中で衆議院を解散する。解散した足で靖国神社に参拝する。総選挙を靖国参拝の正否を問う選挙にし、教育基本法改正も争点に含める。さらには消費税率の引上げもマニフェストに入れ込む。選挙は小泉政権の再信任と郵政民営化の再認を問う選挙となる。公明党は政権離脱を余儀なくされ、民主党は場合によっては党分裂の危機を迎える。政界再編の選挙である。郵政民営化どころではなくなる。

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by thessalonike | 2005-07-06 23:30 | 郵政政局 ・ ポスト小泉 (10)   INDEX  
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