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アルカイダは実在するのか - 「テロとの戦い」のための象徴装置
b0018539_10425254.jpg田中宇もそう見ているように、アルカイダというテロ組織が本当に実在しているのかどうかはきわめて疑わしい。最近の報道は、世界中に散在するイスラム過激派のネットワークが、特にイラク戦争に反対する目的でテロ行動を起す場合に、「アルカイダ」という組織名称をブランドとして利用しているのだという見方を示すようになってきた。誰がテロを起してもアルカイダだと勝手に名乗る。それは捜査の撹乱にも繋がる。ここで我々が考えなくてはいけない問題は、テロを起す側がアルカイダの悪のブランドを利用しているという事だけではなくて、アルカイダをテロのブランドに仕立て上げたのはイラク戦争を起した側、つまり米国であるという事実だろう。仮にアルカイダ・ブランドがテロを起している側に逆利用されていて、それが米英にとってマイナスの結果に作用しているのだとすれば、そうした状況を作り出してしまった張本人は米国である。アルカイダのシンボルを一人歩きさせたのはブッシュ政権の中枢で戦争政策を推進したネオコンだ。



b0018539_1043329.jpg「アルカイダ」はシンボルとして機能している。すなわち米国が「テロとの戦い」を正当化し、人々をコンビンスするために作り上げたエネミーシンボルが、逆に敵側に逆用されて「対テロ戦争」を仕掛けた方に逆襲しているのである。今回、ロンドンの地下鉄車両内で自爆テロを決行した犯人は、オサマ・ビンラディンなどとは何のコンタクトもなく、またアフガニスタンで活動していた当時のアルカイダ組織とも縁も所縁もないような者たちであるに違いない。田中宇も疑っているように、私もビンラディンの健在を疑っている。ビンラディンはアフガン戦争の折にすでに戦死したか、米軍に捕縛されたのではないのか。ビンラディンが現在なお何処かに潜伏してテロ作戦の指揮をしているという説に対して、それを全く信用できない理由は、昨年10月の米大統領選挙直前のビデオの一件があったからである。記憶にある方も多いだろうが、あれは確か投票日の二日前に急にビデオ映像を放送させて米国に対するテロ聖戦の継続を宣言していた。

b0018539_10431644.jpg普通に考えれば、米国内で政権交代が起こった方が米国に敵対するイスラム過激派にとっても政治的に都合がいい。投票直前のビンラディン出演の脅迫ビデオは、米国民のテロ恐怖とアルカイダ憎悪を刺激して、ブッシュ再選に有利にしか働かない。効果は抜群だっただろう。迷っている層をブッシュへの一票に決心させた。ケリーはあのビデオのために敗北を喫した。どう考えてもヤラセ(謀略)という結論しか出て来ない。ラムズフェルドと米軍情報部がビンラディンのダミーに芝居をさせているのだ。そしてその謀略が何の支障もなく遂行可能であり、ビデオ放映後に抗議声明も出ないということは、ビンラディンもアルカイダも生きた反米勢力としてはすでに地上に存在しないのである。田中宇も含めて多くの者が喝破しているように、ビンラディンもアルカイダも米国による「テロとの戦争」が継続されるかぎり、生き続けて世界中でテロを実行し続けるのである。「テロとの戦争」の敵として、エネミーシンボルとして活動し続けなければならない。

b0018539_10432650.jpgそうしなければブッシュ政権の「テロとの戦争」が継続できない。ビンラディンはまさにオーウェルの『1984年』に出てくるゴールドスタインそのものである。私はあのザルカウィの存在も疑っている。これも虚構の象徴だ。米軍がイラク戦争を現地で継続するためのシンボル装置である。ザルカウィの情報は常に米軍を通じて発表され、しかもそれはビンラディンの報道のあり方とよく似ている。もう少しで捕まえるところで取り逃がしたとか、居住していた証拠を発見したとかいう例の話である。何度も聞かされた。そのうちザルカウィのダミー・アクターがビデオに登場するのではないか。ザルカウィを悪魔として象徴利用することで、米軍はファルージャの虐殺を世界の目から隠蔽し、その正当化を図った。ABCの記者はファルージャ総攻撃直前のイブニング・ニュースで、ファルージャを「悪魔の巣窟」と呼んでいた。ファルージャの住民はテロリストの悪魔だから皆殺しにしてもいいのだというメッセージを米国民に送っていたのである。

b0018539_10434041.jpg米国のプロパガンダは本当にプリミティブで、力が抜けるほど幼稚な情報操作のやり方のように見える。そして幼稚でシンプルであればあるほど一般の米国民を騙すのに効果的だという真理をネオコンは承知している。ブレア政権と英国民が今度のテロにどう対応するのか注目して見守りたい。テロは許されない犯罪だ。だが、それはイラク戦争という英国の侵略戦争に対する政治的報復であるという事実も見落としてはならない。報復には理由がある。彼らは二年がかり三年がかりで今度のテロを準備した。英国サミットのタイミングを正確に狙ったのであり、それは政治的に最大の効果を出すためである。米国に追随しているEU諸国に動揺を与えるためである。前回も述べたように、テロは政治の一部であり、テロの実行においては具体的な政治目標がある。イタリアに対するテロが起きるとすれば、それはスペインと同じく選挙の直前であり、撤退か駐留かでイタリアの国論が分かれている時だろう。米国と英国の国民が「テロとの戦争」のマインドコントロールから醒め、冷静な理性を取り戻して、イラク撤退の世論を喚起することを願いたい。
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by thessalonike | 2005-07-11 23:20 | テロ ・ イラク戦争 (3)   INDEX  
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