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渡辺恒雄の時代の終焉 - 巨人監督要請をめぐる迷走劇の裏側
b0018539_9482113.jpg読売巨人軍の監督交代問題が迷走している。二日前にスポニチを通じて打ち上げた原辰徳への新聞辞令を、それをリークして早期交代の流れを作ろうとした滝鼻卓雄自らが一転して否定した。滝鼻卓雄の一人芝居のように見えるが決してそうではない。裏がある。面白い展開になっている。解説を加えよう。簡単に結論から言えば、監督就任要請を原辰徳に断られたということがある。条件面で折り合わなかったのだろう。原辰徳はグラウンドに復帰するときは仲間(斉藤雅樹・村田真一・吉村禎章)と一緒でなければならない。原軍団一同で東京ドームのベンチに戻るためには個々の同志の了解と準備も必要になる。各局で解説者の仕事を抱えている彼らに7月末から急にユニフォームを着ろというのは無理があるし、堀内体制下で現在コーチを務めている者にも迷惑が及ぶ。それに公式戦のシーズン途中で監督交代の前例を作ると、その累はいずれ自分にハネ返ってくる。巨人軍の栄光の歴史に汚点を作ることにもなる。



b0018539_17986.jpgというような理由でシーズン途中での監督要請を固辞したのだろう。これは事前に予想されていた反応でもある。滝鼻卓雄はそこから原辰徳と渡辺恒雄との間に入って折衝と調整に動くかに見えたが、早々と話を揉み消す方向で蓋をした。原辰徳の固辞の意思が固かった点が一つだが、懼くもう一つの裏があって、時間をかけてファンの期待を煮詰めた後で原辰徳に辞退させると、原辰徳がファンの期待を裏切った構図が導かれ、今後の立場と印象を悪くする。「寝耳に水」の時点で素早く話を畳んだ方が原辰徳が受ける傷が小さくて済む。堀内後継として原辰徳以外に眼中にない滝鼻卓雄が、原辰徳の体面を考えて悪者にしないように配慮したのではないか。自分一人のドタバタ劇にして泥をかぶったのだ。スポニチへのリークはあくまで非公式なタクテイックスだから、記者さえ沈黙を守ればこういう幕引き処理も十分可能である。オールスター戦までの一週間が「政治」のヤマかと見られたが、意外に早い結末に終わった。

b0018539_1014638.jpg深読みではあるが、これはひょっとしたら、内心「原後継潰し」あるいは「原骨抜き」を目論んでいる渡辺恒雄天皇に対して、滝鼻卓雄が熾烈かつ巧妙に政治戦を展開している状況の反映なのかも知れない。滝鼻卓雄は渡辺恒雄のパシリではあるが、巨人再建についての持論は明確で、堀内解任と原復帰しかないと考えていて、それを早期に実現するのが経営者としての自分の任務だと思っている。その点で微妙に渡辺恒雄と温度差がある。渡辺恒雄は別に誰が監督になってもよく、要は自分の言いなりになって動き、その上でなるべく多く勝ち星を取れる監督がいい。絶対条件は自分のリモコンで動くロボットであるという事であり、勝ち星が多いか少ないかは二の次の問題なのである。原辰徳を監督に戻したら、必ずもう一度衝突する。修羅場がある。ファンを味方につけた原辰徳が反旗を翻して「反ナベツネ」のシンボルになれば、読売グループの内部でクーデターが起こって渡辺恒雄の失脚と追放の事態に繋がりかねない。

b0018539_1015883.jpgだから、原辰徳を監督に戻してやるときは完全に骨抜きにして、自分に忠誠を誓うリモコン・ロボットに改造して現場に復帰させる。それが渡辺恒雄の狙いであり、滝鼻卓雄の思うようにはさせないのである。権力維持が全てなのだ。これで堀内恒夫はクビが繋がった。死に体ながらも当面は後半戦の指揮を執り続けることができる。ホッとしていることだろうし、スポニチの記事が出た後は、渡辺恒雄のところに直行して抗議と懇願をしたことだろう。シーズン途中の解任はあまりに酷い仕打ちだと泣きを入れ、話が違うじゃないかと開き直ったことだろう。実際に、堀内恒夫を強引に解任すれば、この男はマスコミに何を喋り出すか分からない。裏話を全部バラしてやると暴れるだろう。渡辺恒雄にとってはそれは危険な爆弾であり、被害者意識で固まった堀内恒夫の真相暴露は巨人をさらに崩壊へと導いて行く恐れがある。

b0018539_10204757.jpgそのような思惑が諸々に働いて今回の騒動の始末となった。だが、組織と経営という観点から考えれば、改革の決断と実行は一刻も早い方がいい。時間を無駄に浪費すれば、それだけ巨人軍の弱体化と視聴者離れは深刻になり、再建のコストは膨大になる。死に体化した堀内恒夫の采配にまともに従う者はいないだろう。選手は自分の成績と来季の契約だけに関心を集中させる。勝ちに行かなくなる。無理に球に飛びついたり、必死で本塁に滑り込んだりしなくなる。集団の目標が失われ、必然的に負けが混むかたちになる。それは視聴率の数字に跳ね返る。視聴率はスポンサー企業の契約に影響する。スポンサーの動向は日本テレビの経営に打撃を与える。栄光を誇った読売巨人軍のブランドが地に堕ち、球界の盟主の地位を失い、観客動員数も激減して、従来のような金満主義の球団経営も不可能になる。情勢の変化は早い。堀内恒夫のクビを繋ぐことが、逆に、渡辺恒雄のクビを締める事態を早めるだろうと私は予想する。

渡辺恒雄の権力支配の時代は終わった。
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by thessalonike | 2005-07-20 23:38 | 読売巨人軍考 (7)   INDEX  
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