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祝 前田智徳オールスターMVP - 復活せよ、広島市民球団
b0018539_1225790.jpgオールスター第二戦で広島カープの前田智徳がMVPを受賞した。テレビ朝日の番組では試合後のヒーローインタビューは見れなかったが、試合途中でインタビューを受ける場面があった。前田智徳が全国中継のマイクとカメラの前で喋るのを見たのは初めてで、どういう映像になるのか(少し大袈裟だが)固唾をのんで見守っていた。解説者からの質問が気に障って、そのままベンチに帰ってしまうようなハプニングが起きるのではないかとハラハラしたのである。意外に受け答えは普通の常識ある男のものでホッとした。と同時に少し拍子抜けさせられた。天才と言われ続けているこの男は、とにかく万事が個性的で、それは野球の実況を見ているだけでも十分伝わってくる。打席に立っているときの態度も他の打者とは全く違う。塁に出た後の所作も他の選手とは違う。常に唯我独尊で我が道を行くのプレーを貫徹している。自分の納得できるバッティングをすることしか関心がないようで、得点することも、試合に勝利することも、他のことは何も眼中にないように見える。



b0018539_1231371.jpg天才の職人。ずっとずっと前に雑誌『Number』で特集されたことがあった。記事の題名が「前田智徳に天才を見た」というようなものだったことを覚えている。プロ野球の打者論についての掘り下げた専門的な文章だった。その『Number』を見た場所を思い出そうとすると、二十年前に住んでいた首都圏のある町の風景が自然に頭に浮かんでくる。早朝から深夜まで仕事に追われていた若い頃。前田智徳は現役生活十五年で、二十年も経ってはいないのだが、なぜかその『Number』の記憶が自分の中で80年代半ばの風景と重なっているのだ。その雑誌記事を読んで以来、前田智徳を注目して見てきたつもりだが、実はその頃から広島カープは次第に弱くなり、優勝しないチームになった。調べてみると91年の山本浩二監督で優勝してから十三年間もリーグ優勝から遠ざかっている。しかもこの七年間は万年Bクラスで、五位が指定席の弱体ぶりである。広島カープのファンはストレスが続いているだろう。広島カープのファンはネットの中に多くて、よく目立つ。

b0018539_1232269.jpg広島カープが強くないとセリーグの野球が面白くない。セントラルの野球は広島が代表するのだと個人的に思っている。江川卓がセリーグの野球を評して言うところの「ボール一個を出し入れする野球」。緻密で抜け目ないテイク・ワン・ベースの野球。スピードと機動作戦の連続の野球。ケガする寸前まで朝から晩まで練習して、熾烈な練習競争の中で勝ち上がってレギュラーを奪い取る野球。現在の巨人のやっている野球を180度逆にひっくり返した野球。日本野球の原点に近い野球。そうした野球の表象は広島カープというブランドに象徴されて観念されている。80年代の強かった頃の広島は、そういう野球を確かに見せてくれていて、広島が巨人に勝つゲームを見るのが楽しかった。ヤクルトと横浜は巨人に媚びていたが広島は媚びていなかった。弱い阪神は常に巨人に惨敗して、見る者の興趣を殺いでいた。広島だけが頼もしかった。広島はいつの間に、どうして弱くなったのだろう。カネのせいなのか。不況が製造業と地方経済を特に圧迫した影響が出ているのか。

b0018539_1233679.jpg前から少し気になっていたことがあって、それは十年ほど前から広島打線の大振りが目立つようになったことである。下位の打者ほどよく目立つ。フルスイングは結構だが、打者がボールを最後まで見ていない。打法の指導の影響ではないか。フルスイングの空振りは広島の野球に合ってないと思うがどうだろうか。それと戦術や戦法とは関係ないが、川口和久や池谷公二郎の巨人移籍にも驚かされた。そのような事件は予想もしていなかったからである。広島から巨人への主力選手の移籍など聞きたくない不愉快な話だ。最近では金本知憲と町田公二郎の阪神移籍がある。何か球団の体質が脆弱になり、以前と較べて志操を失っているように見えて気になる。広島らしい市民球団の伝統と矜持が感じられない。監督の山本浩二に気迫がない。優勝を捥ぎ取ろうとする執念がない。巨人戦で広島の選手が守備のエラーをする場面を見せられて落胆させられる。見たくない映像だ。キャンプで巨人の二倍以上練習をしているのなら守備で失策してはいけないだろう。

b0018539_1254646.jpg広島カープは広島市民の誇りである。カープの不甲斐ない戦いは広島市民を失望させる。さらに市民球団である広島カープの存在は単に地域に限定されない普遍的な意義を持っていて、その活躍への期待は重大な社会的意味がある。市民球団である広島カープは資本球団である読売ジャイアンツに対して本質的にアンチテーゼの存在なのだ。地方の貧乏球団である広島カープが死力を尽くして打倒巨人を果たすところにロマンがある。プロ野球ファンのカタルシスがある。広島カープは自らの存在と使命を自覚し直して軍団を再編成するべきだ。新しいリーダーの登場も必要である。本来なら、昨年の球界再編劇の中で古田敦也を支援する有力な反読売の一翼として、広島球団とその関係者が獅子奮迅の活躍をする場面があってもよかった。池谷公二郎や川口和久や江藤智や西山秀二の例も不愉快だが、それ以上に山本浩二が日本テレビの解説者になったことそのものが異常である。星野仙一はそういう不様はしなかった。広島カープは読売巨人に媚びてはいけない。毅然とせよ。

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by thessalonike | 2005-07-26 23:33 | プロ野球関連 (5)   INDEX  
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