人気ブログランキング |
六カ国協議外交における日本の敗北 - 勝利したのは中韓朝三国
b0018539_1242682.jpg26日に釣魚台迎賓館で撮影公開された六カ国協議代表団の映像が面白い。日本のマスコミでも今回の六カ国協議における「日本はずし」が強調されて報道されているが、これほど顕著に「日本はずし」の実相をプレゼンテーションする絵はないだろう。テレビで見ていた印象では、右端に並ばされた佐々江賢一郎が必死に右腕を伸ばして、他の代表たちと掌を合わせようとするのだが、それを隣の韓国の宋旻淳がサポートせず、またホストの中国の李肇星外交部長がそれを素知らぬ顔で流して、左手で佐々江賢一郎の手を取るという構図を作っていた。意地悪をしていると言うのは言い過ぎだろうが、何となく中韓両国が最初からこの「絵」の演出を企図していたように思えてならない。代表団が手を合わせる中心が北朝鮮の位置、つまり左側に大きく寄っている。今回の六カ国協議の主役が北朝鮮と米国であり、それを纏めるのが中国だというメッセージが送られている。二年前(第一回協議)の写真を添付するので較べ見て欲しい。



b0018539_12523681.jpg前回までの六カ国協議のホストは現在駐日大使を務めている王毅(当時外交部副部長)だったが、日本代表の薮中三十二は主役の一人として十分にポジションを配慮されていた。日本は今回の協議では何の発言権もない。佐々江賢一郎の役目は開会式での挨拶と最後の合意文書への調印だけだ。事前の情報は何も持っておらず、会議中も情報は入って来ない。ホストの中国から単に日程の連絡が入るだけで、後は米国から適当に情報をもらうだけだろう。惨めなお飾りである。顔と名前を出しているだけだ。竹島問題と靖国問題で中韓との関係を決定的に破壊したたために、仲間外しにされ、外交主体としての立場と地位を失った。拉致問題の進展どころではない。外交によって国益を追求する可能性そのものを封殺されてしまったわけだ。少なくとも東アジアにおいては、日本は何も発言力の無い国に成り下がってしまった。日本の国益利害に関心を当てて全体の場に拾い上げてくれる同調国は(米国も含めて)一国もない。自業自得である。小泉政権の自己中心外交の結末だ。

b0018539_12335793.jpg今回、北朝鮮は核保有国となったことで、逆にさらにその立場を利用して、一年前には要求していなかった在韓米軍の核兵器撤去の問題まで交渉の条件の中に入れようとしている。拉致問題を議題から外す要求については目的を完遂した。米国が体制保証について譲歩の姿勢を見せ、一年前と較べて北朝鮮の立場は明らかに強くなっている。今回の協議では何らかの合意が形成されるのはほぼ間違いなく、北朝鮮は核兵器開発放棄と査察検証を受け入れる見返りに、米国による体制保証と五カ国からの経済支援を手に入れる結果になるだろうと大方の者は予想している。ここまでの展開を見れば、ニ年半前からの北朝鮮の核脅迫外交は「成功」したと言ってよい。北朝鮮は韓国を自分の側に引き寄せただけでなく、今度は米国を引き寄せることにも成功した。大きく俯瞰して言えることは、日本を除く五カ国全てが太陽政策の支持国として足並みを揃えたということである。米国が北朝鮮との戦争を放棄して太陽政策の協調の下に戻った。

b0018539_12435314.jpgそもそも三年前のケリー訪朝時における核開発暴露の挑発外交が間違いだったのだ。あれは小泉訪朝で関係を正常化しつつあった日本と北朝鮮の間を裂き、東アジアに緊張を作り出して、同盟国である韓国と日本を米国に引き寄せ、そしてイラク戦争に向けて準備の真っ最中にあった米国の「悪の枢軸」ドクトリンを固めるために、アーミテージが惹き起こした謀略の一種ではなかったのか。真相は不明だが、北朝鮮は待ってましたとばかりケリーの挑発を歓迎して、米国との間で崖っ淵の核戦争チキンレース外交を展開する。その激動の最中に韓国で大統領選挙があって、太陽政策継承の盧武鉉が親米路線の李会昌を破って当選した。劇的な選挙だった。あの大統領選挙によってアーミテージの東アジア親米化路線、中国封じ込め政策は蹉跌することになる。小泉政権も靖国外交のツケを支払わされているが、ブッシュ政権もネオコンの戦争政策のツケをこれから支払わされるのである。米国は外交では北朝鮮に勝てない。

b0018539_1594353.jpg戦争をする以外に北朝鮮を屈服させることは不可能だ。韓中露三国の絶対阻止があり、多大な戦争犠牲者の予想があり、そして北朝鮮に奪い取れる地下資源の蜜が無い以上、ネオコンとホワイトハウスは北朝鮮との戦争には踏み切れない。そのことを日本のマスコミと評論家は正しく説明するべきである。拉致問題を騒いで経済制裁を煽っても、外交上得られる対価や効果は何も無いのだ。頼りにしていた米国ですら北朝鮮に歩み寄っているではないか。この六カ国協議が前向きに纏まり、米朝二国間で体制保証と平和共存の協定が調印されたとき、米国において日本の北朝鮮拉致問題は一体どうなることだろうか。半年ほど前、右翼の立場を代弁する評論家たちは、もう北朝鮮を外して五カ国協議に移行するべきだと言っていた。現実を見よ。五カ国協議になっているではないか。日本を外した「米中露韓朝」の五カ国協議体制である。中国と韓国と北朝鮮がこの外交戦の勝利者である。政権と右翼はこの敗北と失態をどう弁明するのか。

b0018539_12383381.jpg

by thessalonike | 2005-07-28 23:30 | 北朝鮮問題考 (10)   INDEX  
<< Blog Status Rep... Indexに戻る プロ野球改革構想 - パ会長は... >>