古館伊知郎の「蛇口」デマゴギー - 局長会と全逓は抗議と提訴を
b0018539_12551713.jpg周知のとおり、郵貯と簡保の資金が財政投融資に流れる仕組みは、2001年の財投改革によって制度的には既に断ち切られている。従来のように郵便局に集まった国民の資金が大蔵省理財局に強制預託されて、それを資金運用部がフリーハンドで公社公団に垂れ流すというシステム(蛇口)は廃止されている。郵貯と財投をめぐるいわゆる入口出口論(蛇口論)においては、この制度的事実の存在が重要で、この事実を無視したり、あるいは事実に無知なまま「郵政民営化」を議論することは許されない。この点は、一昨日の生放送でも岡田克也が古館伊知郎に厳重に釘を刺していた問題なのだが、古館伊知郎は頭が悪すぎて一晩経ったらそれをあっさり忘れたのか、それとも意図的に無視したのか、昨晩も公明党の冬柴鉄三との対談で、財政の資金蛇口を閉めるために郵政民営化が必要だという持論を繰り返していた。これは郵政民営化推進論者の常套句であり、テレビで(短い時間)に大衆に向けて「郵政民営化」の正当性を説得する際のキラートークである。そして根拠のないデマゴギーである。



b0018539_12553268.jpg民営化推進論の立場の人間が、改革プロパガンダを散布する目的で、そして小泉自民党を総選挙で勝たせるべく、テレビでこの言説を吐くのはよい。だが、古館伊知郎のような放送法で政治的公平の保持を定められた立場の人間が、上のような明らかな(中立を逸脱した)デマゴギーを何度も繰り返して放送することが果たして許されるのだろうか。特定郵便局長会と全逓は古館伊知郎と番組プロデューサーに抗議して、場合によっては放送法違反と名誉毀損で裁判所に提訴し、謝罪訂正と損害賠償を求めて動くべきだろう。黙っていては古館伊知郎の蛇口論のデマゴギーをそのまま認めることになる。中立と公平を守るべき報道キャスターは、郵政民営化についても賛成論と反対論の二つを公平に紹介して、是非の判断は視聴者である国民各自に委ねるべきである。国民の九割が郵政民営化に賛成ならいざ知らず、世論は二つに分かれていて、現実に参院では反対論が多数となった。

b0018539_12554717.jpg郵便局の存在があるから自動的に財政赤字が発生するわけではない。郵貯と簡保があるから借金財政になるのではない。それは違う。税金を無駄使いする人間がいるから借金が膨らむのである。郵貯資金が財政赤字の元凶だという議論は、女が満員電車に乗っているから痴漢事件が起きるのだと言っているのと同じだ。女が電車に乗らなければ痴漢被害に遭わなくて済むから電車に乗るのを止めろと言う理屈と同じである。全く本末転倒したスリカエの詭詐だ。デマである。特殊法人があって、特殊法人の存続のために財投機関債(国債)が発行され続ける限り、借金はなくならない。どこかの金融機関が国債を引き受けなくてはならず、それは現在の郵政公社でも民営化された郵貯会社でも同じである。財政改革の問題解決のためには政府支出を削減しなくてはいけない。それは特殊法人の整理であり、無駄な公共事業の中止である。無駄な防衛費やODAの抑制である。財政破綻の原因を郵貯簡保の存在に求め、郵便局を解体民営化すれば財政が健全化するという話は、根拠のない騙しの暴論である。

b0018539_1394662.jpg前にも述べたが、小泉政権は党内合意すら省略するほど郵政民営化には狂奔しながら、一方で北海道新幹線を始めとする整備新幹線三線の同時着工にはゴーサインを出し、静岡空港や神戸空港の建設は中止しようとしない。完成開業しても赤字経営が必至と言われている大型の公共事業を、削減縮小するどころか新規に拡大して予算支出を膨らませている。整備新幹線事業は、橋本内閣以来の歴代の自民党政権が族議員や地元議員の抵抗を押し切って凍結を続けてきた予算案件である。そのことは誰でも知っている。橋本政権の当時は、新幹線の建設がいかに採算の合わない無駄な事業かを繰り返し久米宏が『ニュースステーション』で報じていた。朝日新聞も徹底的にキャンペーンを張っていた。ところが小泉政権の整備新幹線着工には誰も文句を言わない。一方で国の借金が700兆円だあと騒ぎながら、その後に言う決まり文句は「郵政民営化」だけで、小泉政権による整備新幹線着工を批判する言論は全く無かった。道路公団だけにスポットが当てられて、「改革」が演出されている。

b0018539_12555963.jpg特殊法人改革も同じで、改革という言葉は活字になっているが、着手は全くされていない。小泉純一郎が政権に就いて四年経ったが、解体消滅させられた特殊法人は何団体あるのだろうか。印象としては、特殊法人問題は国民の目からすっかり遠ざけられ、マスコミがそれを問題として真剣に追及しなくなった感がある。橋本内閣の頃は、それでもまだ報道番組のスタジオに特殊法人を書いたパネルが置かれて、ここが問題とかこれはもう要らないなどという議論を精力的にやっていた。まさに利権と無駄遣いの巣窟のリストが並べられて糾弾されていた。私も当時、そのリストを手掛かりに、ネットで特殊法人名を検索して一件一件調べてみた記憶がある。案の定、何も仕事をしていなくて、アリバイ的に稚拙なHPを作っていて、いかにも公共的な事業活動をやっていますというフリを見せながら、海外視察報告なんぞを載せたりしているのが殆どだった。最近は特殊法人問題についてのニュースが無いので検索の手が伸びない。特殊法人問題についての正面からの報道はせずに、道路公団と郵政民営化でそれを代替している。猪瀬直樹の改革パフォーマンスで国民を説得しながら、その裏で新幹線と新空港を建設しているのである。
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by thessalonike | 2005-08-12 23:30 | 郵政民営化 ・ 総選挙 Ⅰ (15)   INDEX  
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