カテゴリ:北朝鮮問題考 (10)( 10 )
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安明進証言と蓮池薫証言の矛盾 - 国家的謀略としての拉致問題
b0018539_12564998.jpg先週の出来事の中で最も重要でショッキングな事件だと思われたのは、北朝鮮拉致問題をめぐって国会に招致され参考人証言した安明進の発言内容に対して、拉致被害者の蓮池薫がそれを否定した報道である。この問題を論じ始めると右翼から大量のスパムコメントやスパムトラックバックの嫌がらせが来て憂鬱になる。北朝鮮拉致問題に限って言えば、わが国に言論の自由はない。拉致被害者やその家族を少しでも批判する言説は、戦前の「不敬罪」の如きレッテルを貼られて袋叩きの目に遭わされる。拉致被害者と拉致被害者家族はアンタッチャブルの存在だ。マスコミは彼らを聖人のように崇め奉るしかなく、放送と活字の世界では経済制裁を煽る言論しか許されない。拉致事件の真実の解明を求め、そして経済制裁に反対する言論は、こうしてネットの隅で匿名を保護された環境でしか最早不可能なのである。最近の報道番組で誰かが「日本の外交は拉致問題に拉致されている」と発言していたが、外交だけでなく日本の言論の全てが拉致問題に拉致されている。私は前に「北朝鮮拉致問題は現代の満州事変である」と論じた

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by thessalonike | 2005-08-05 23:30 | 北朝鮮問題考 (10)   INDEX  
六カ国協議外交における日本の敗北 - 勝利したのは中韓朝三国
b0018539_1242682.jpg26日に釣魚台迎賓館で撮影公開された六カ国協議代表団の映像が面白い。日本のマスコミでも今回の六カ国協議における「日本はずし」が強調されて報道されているが、これほど顕著に「日本はずし」の実相をプレゼンテーションする絵はないだろう。テレビで見ていた印象では、右端に並ばされた佐々江賢一郎が必死に右腕を伸ばして、他の代表たちと掌を合わせようとするのだが、それを隣の韓国の宋旻淳がサポートせず、またホストの中国の李肇星外交部長がそれを素知らぬ顔で流して、左手で佐々江賢一郎の手を取るという構図を作っていた。意地悪をしていると言うのは言い過ぎだろうが、何となく中韓両国が最初からこの「絵」の演出を企図していたように思えてならない。代表団が手を合わせる中心が北朝鮮の位置、つまり左側に大きく寄っている。今回の六カ国協議の主役が北朝鮮と米国であり、それを纏めるのが中国だというメッセージが送られている。二年前(第一回協議)の写真を添付するので較べ見て欲しい。

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by thessalonike | 2005-07-28 23:30 | 北朝鮮問題考 (10)   INDEX  
大詰めを迎えた六ヶ国協議 - 蚊帳の外に置かれた日本外交
b0018539_1031207.jpg当ブログでも頻繁に取り上げて紹介している中国国務委員の唐家旋が13日に北朝鮮を訪問して金正日と会談した。唐家旋は中国の外交政策を統括する最高首脳だが、外遊するのは本当に珍しい。常に釣魚台迎賓館の奥の間で外国から訪中してきた首脳クラスと会うのが仕事で、その姿はまさに往年の中華王朝の朝貢外交を彷彿させるものだった。自分からは絶対に外に出ない。国務委員になってからは米国も日本も一度も訪問していないはずである。その唐家旋が平壌へ動いた。今回の北朝鮮訪問が中国にとって並々ならぬものであることを示している。唐家旋の訪朝は、唐家旋が北京でライス長官と会った次の日に行われていて、素早い身の動きに注目される。訪朝の内容について米国側と最終的な調整があったのだろう。26日からの六ヶ国協議の中身がこうしてビシビシと固められているのであり、協議全体の成果について北朝鮮に受け入れさせるべく唐家旋が詰めに行ったのだ。つまり今度は絶対に卓袱台をひっくり返すなよと釘を刺したわけである。

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by thessalonike | 2005-07-14 23:30 | 北朝鮮問題考 (10)   INDEX  
戦前と戦中の間 - 北朝鮮拉致問題は現代の満州事変である
b0018539_11111598.jpg今から七年以上前の話だが、TBS『ニュース23』の佐古忠彦キャスターが、筑紫哲也との合いの手の中で「今はもう戦後ではなくて戦前じゃないかという声もありますね」と小さく漏らしたことがある。この十年ほど佐古君は私のお気に入りで、大袈裟に言えば希望そのものだが、このときの一言は特別に印象深いもので、忘れられずにずっと心の中に格納されたままでいる。佐古君の端正で生真面目な風貌と正義と真実への真摯な態度は、日本のジャーナリズムの最後の良心を象徴しているようであり、このまま崩れず、崩されず、ずっと続いて行って欲しいと願うのみだが、佐古君のその言葉を引き継いで今の時代の本質を一言で射抜くなら、現在はまさに戦前と戦中の間である。戦中に一歩入り込んだ。その感を強くする。いつから戦中に足を踏み入れたのか。それは三年前の小泉首相の北朝鮮訪問から始まった拉致事件騒動の時からであり、街中やネット中に右翼の青リボンが氾濫し始めたときからである。

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by thessalonike | 2005-06-10 23:30 | 北朝鮮問題考 (10)   INDEX  
核実験の代わりの核保有宣言 - 実質開始の米朝二国間協議
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北朝鮮の金桂冠外務次官は8日、米テレビ局ABCニュースとのインタビューで、北朝鮮は米国の攻撃を防ぐのに十分な数の核兵器を保有しており、さらに増やす過程にあることを明らかにした。金次官は、核兵器を保有しているという北朝鮮の従来からの主張を繰り返した。ただ、その規模についての言及は差し控えた。次官は通訳を通じて、「北朝鮮には米国からの攻撃を防ぐに十分な核兵器がある。何個保有しているかは秘密」と述べた。北朝鮮が核兵器を増やそうとしているかとの質問に対しては、「そうだ」と答えた。米本土を攻撃できるミサイルを持っているかという質問に対し金次官は、北朝鮮の核開発が米国を狙ったものではないと言明。「米国を攻撃する意図は全くない。そのような憶測を抱いてはいけない」と語った。 金次官は、「北朝鮮の科学者には、世界の他の地域の科学者に匹敵する知識があることを知ってほしい」とも述べた。 (6月8日ロイター)


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by thessalonike | 2005-06-09 23:30 | 北朝鮮問題考 (10)   INDEX  
北朝鮮問題考(5) - 対北朝鮮外交を動かす3つのベクトル
b0018539_1153165.jpgファナティックな制裁論ばかりが喧しい。アジア大洋州局北東アジア課の職員諸君は、一昨日の北朝鮮外務省の談話について各方面から情報収集して分析を加えているところだろう。当ブログの見解がお役に立てればありがたい。日本の北朝鮮外交については非常に複雑な力学構造の存在がある。それを動かしているエンジンは実体としては三つあり、簡単に言えば米国と外務省と右翼である。三者はそれぞれ異なる目的と利害を持って動いている。国内ではこの二年間、外務省と右翼が官邸権力の争奪戦を演じて激しく鬩ぎ合ったが、最終的に外務省が勝利した。中山恭子の罷免がそれを証明する出来事だった。小泉首相が外務省側について日朝国交正常化の名望の方を選択したのである。日本の首相は平均2年でコロコロ変わる。日本の外交に基本的責任を負っているのは外務省であり、国家のグランドオブジェクティブである日朝国交正常化と日露平和条約は、時々の政治家の恣意や思惑に委ねるわけにはいかない。

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by thessalonike | 2004-12-17 23:30 | 北朝鮮問題考 (10)   INDEX  
北朝鮮問題考(4) - 経済制裁には核実験で対抗する
b0018539_11574199.jpg北朝鮮の外務省報道官が14日に談話を発表して、実務者協議で日本側が持ち帰った遺骨は本物であると主張し、さらに日本国内で北朝鮮への経済制裁の世論が高まっている動向に対して、「万一、制裁が発動されれば、わが国に対する宣戦布告と見なし、強力な物理的方法で即時対応するだろう」と警告を発した。今夜のNHKの7時のニュースも、きっとこの問題で一色に塗り潰されるに違いない。北朝鮮が日本の経済制裁に対して、それを宣戦布告と見なして対抗すると言明したのは一年半ぶりのことであり、昨年春に万景峰号の新潟寄港問題をめぐって日本の国内が騒然としたとき以来である。北朝鮮経済制裁関連法案(外国為替及び外国貿易法の一部改正と特定外国船舶入港禁止法)は、このとき国会に上程され可決成立している。が、そこから一年間の日朝関係は、六ヶ国協議の軌道が敷かれたこともあって比較的平穏な状態が続き、今年7月の小泉再訪朝と5人の拉致被害者の子供の帰還へと推移した。

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by thessalonike | 2004-12-16 23:30 | 北朝鮮問題考 (10)   INDEX  
北朝鮮問題考(3) - 経済制裁プロパガンダに倦む師走
b0018539_12342671.jpgこの話を始めるとスパムコメント対策が憂鬱になるが、最近のテレビは北朝鮮への経済制裁をあまりに過剰に煽り過ぎている。特にNHKの報道がひどい。7時のニュースは冒頭から横田夫妻が登場して、放送時間の半分をこの話題で埋めている。横田早紀江のワンマン演説番組だ。こういうのをプロパガンダと言うのではないか。横田夫人も最近では語調がテレビに出る政治家のようになり、「めぐみちゃん」の言葉の響きも以前よりわざとらしく聴こえるようになった。昔の真剣さが感じられず、演出を計算してアジ原稿を読んでいる印象を受ける。要するに世論を経済制裁へと誘導するために自覚的にプロパガンダをやっているのだ。すでに単なる拉致被害者家族ではなく一個の政治活動家なのである。それは別によいとして、プロパガンダを全面支援しているNHKについてだが、どうも海老沢勝二の進退問題とリンクしているように思われてならない。辞任阻止のために必死で政治に媚を売っているのではないか。

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by thessalonike | 2004-12-15 23:30 | 北朝鮮問題考 (10)   INDEX  
北朝鮮問題考(2) - 経済制裁をめぐる政治情勢
b0018539_1340429.jpg現在政府が検討している対北朝鮮経済制裁は、自民党拉致問題対策本部が今月初に出した中間報告がベースとなるものである。そこには五段階があって、具体的には次のような内容になっている。第1段階として人道支援を凍結・延期、第2段階で送金の報告義務の厳格化、第3段階で特定品目の貿易停止の措置、第4段階として特定船舶の入港禁止や貿易の全面停止、第5段階で船舶の全面入港禁止を想定。以前に言われていたような朝鮮総連の資産全面凍結とか、在日朝鮮人による本国への送金停止といった本格的な措置が含まれていない。最終段階の制裁内容ですら船舶の入港禁止のレベルであり、これは私が見たところ、北朝鮮にとって比較的受け入れやすい経済制裁であるという印象を受ける。すなわち中身よりも国家としての(国内世論と国際社会向けの)態度表明を重視した外交政策ではないか。

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by thessalonike | 2004-11-19 11:30 | 北朝鮮問題考 (10)   INDEX  
北朝鮮問題考(1) - 日朝実務者協議をめぐる政治
b0018539_16194880.jpg結局のところ今回の日朝実務者協議では特に何の進展もなく、八人死亡ニ人不明の線が覆る事はなかった。報道では北朝鮮に対する経済制裁の発動が取り沙汰されている。おそらく週末の各テレビ局の政治番組の中で緊急アンケートの結果が報告され、北朝鮮への経済制裁に賛成か反対かの世論調査の数字が公表されるだろう。新聞では読売が経済制裁に賛成、朝日が慎重な姿勢の社説を出している。アンケートの結果も局や番組で分かれるかも知れない。政府は現在のところ経済制裁の素振りは全く見せず、代わりに自民党のタカ派議員が声高に強硬論を吠えている。巧妙な分業政治。議員は国内の保守層の票を失わないように騒ぎ、政府は六カ国協議の枠組を壊さないように外交に配慮して政策を運ぶ。ここで(北朝鮮との事前了解なしに)本格的な経済制裁を発動すれば、半島の安全保障を担う六カ国協議体制は崩壊の危機に瀕する。

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by thessalonike | 2004-11-18 23:30 | 北朝鮮問題考 (10)   INDEX  
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