カテゴリ:『ブラザーフッド』 (6)( 6 )
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韓国映画『ブラザーフッド』 (1) - 感動の大作      
b0018539_23295326.jpgもう一ヶ月以上前の話になるけれど、7月16日(金)と17日(土)の二日間、日比谷スカラ座に足を運んで、話題の韓国映画『ブラザーフッド』を見てきた。同じ映画を二日続けて見るのは最近はあまり記憶がない。期待を上回る大きな感動を与えられた作品だった。この映画は観客を感動させ泣かせる映画だが、泣かせると言っても、胸が熱くなるとか涙ぐむとかのレベルの感動ではない。この映画のラスト10分間のクライマックスに観客が示す自然な反応は、まさに号泣とか慟哭という言葉があらわす泣き方であり、ポロポロ涙を零すのではなくて、スクリーンに向かってオイオイと泣き声を上げる態度こそ好ましく適切な反応だと言える。『レッズ』以来で『レッズ』以上。

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by thessalonike | 2004-09-06 23:30 | 『ブラザーフッド』 (6)   INDEX  
韓国映画『ブラザーフッド』 (2) - イデオロギーの戦争
b0018539_22272244.jpg映画『ブラザーフッド』の批評を思い立ちながら、なかなか筆が進まなかったのには理由があって、一つにはこの映画があまり日本国内で大きな話題や評判にならなかったという事情がある。これだけ「韓流ブーム」が絶頂を極めているというのに、歴代韓国映画の最高傑作とも言えるこの作品が、なぜ日本社会で関心の中心に到達しないのか。本来なら得てよいはずの芸術的評価や商業的成功を獲得できないのか。その辺りのところを考え始めると思考が躓き挫けかけて、つまりネットで作品について真剣に正面から批評を試みても、それが他の共感や支持をコールできる自信や予想を持ち得ず、何やら滑稽な一人相撲の徒労に終わって惨めな気分になる予感や不安があり、意欲を一歩前に押し進めることができなかった。

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by thessalonike | 2004-09-05 23:30 | 『ブラザーフッド』 (6)   INDEX  
韓国映画『ブラザーフッド』 (3) - 朝鮮戦争の戦場   
b0018539_2341023.jpg『ブラザーフッド』は単なる戦争映画ではなく、朝鮮戦争という巨大な現代史を正面から捉えた民族のドラマとして定義するべきだと思うが、朝鮮戦争の全体像が描かれながら、その視角は常に下から、民衆の視線からのものであり、この点にカン・ジェギュ監督の独自の方法がある。方法とはすなわち哲学であり信念だ。監督は朝鮮戦争の過程を厳密に追跡しているが、映像の中には李承晩も金日成もウォーカーもマッカーサーも登場しない。朝鮮戦争に関わった権力中枢の人間は映像化されることなく、偶然に徴兵された無名の若い兄弟が従軍して戦場を遍歴する姿を追いかけながら、朝鮮戦争の全貌が映し出される構成になっている。あくまで人間のドラマとして民族の現代史を映画作品にしようとした監督の営為と執念であり、そしてそれは結果として見事に成功を収めている。

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by thessalonike | 2004-09-04 23:30 | 『ブラザーフッド』 (6)   INDEX  
韓国映画『ブラザーフッド』(4) - 俳優たちの圧倒的な演技   
b0018539_032478.jpg映画『ブラザーフッド』を語るとき、どうしても言わなければならないことは、出演した俳優たちの演技の巧さである。溜息が出るほど素晴らしい。迫真の演技とはこの作品のキャストが観客に見せるものである。それはよく言われることで、特に日本の俳優たちとの比較で指摘されることだが、韓国映画界の俳優たちは明らかに演技の水準が高い。演技とか演技力についての概念がある。監督が作品の制作の中で求める人物、個性の内面や表情を物語の展開に応じて正しく表現、演出できる技能。韓国の俳優たちが確かに持っているのは、その演技という職業技術の意識と理解であると言える。日本の俳優、特に若い俳優にはそれがない。持ち前の未熟な個性でそのまま台本を読み上げればそれが演技だと持て囃されるのだ。

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by thessalonike | 2004-09-03 23:30 | 『ブラザーフッド』 (6)   INDEX  
韓国映画『ブラザーフッド』 (5) - 日韓の温度差について
b0018539_0292032.jpg映画『ブラザーフッド』をわれわれが評する上で欠いてはならないと思うのは、それが日本国内で期待された事業的成功を十分に収められなかった問題について、正面から考えてみることだろう。日本での興行収入は十億円と言われているが、果たしてこの数字は満足な実績と言えるのか。私が足を運んだ日比谷スカラ座では、週末土曜日というのに館内の客入りはきわめて少なく、座席全体の五分の一を満たしていたかどうか。切符売り場にも行列はなく、隣の映画館で上映している何かに人が集まっていた。少ない観客の中で名作を楽しめるというのは個人的には都合がよく歓迎するところだが、この空前の韓流ブームの真っ只中で韓国映画の最高傑作が上映されようというのに、しかも監督は大ヒット作『シュリ』のカン・ジェギュだと言うのに、都心映画館の週末の意外な不入りに正直なところ愕然とせずにはいられなかった。

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by thessalonike | 2004-09-02 23:30 | 『ブラザーフッド』 (6)   INDEX  
韓国映画『ブラザーフッド』(6) - 暗喩された兄と弟  
b0018539_055404.jpg『ブラザーフッド』についての本格的な批評はまだ目にしたことがない。が、この点についてはすでにどこかで誰かが指摘していると思われるが、二人の兄弟の関係には北と南の関係が暗喩されている。この問題について少し掘り下げて考えてみよう。どちらが北でどちらが南なのか。言うまでもなく兄ジンテが北であり、弟ジンソクが南なのだ。北の人間によって生かされている南の人間。北の犠牲によって繁栄の恵みを与えられている南。その関係性が象徴されている。カン・ジェギュ監督のメッセージがある。弟を生かし、弟が戦場から離れるのを助けるべく、最後に激戦の杜密嶺高地で人民軍側に機関銃を撃ち、そして戦場で屍になる兄ジンテは「北」であり、無事にソウルに戻り、その後の人生を平和に送って家族をなす弟ジンソクは「南」なのだ。

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by thessalonike | 2004-09-01 23:30 | 『ブラザーフッド』 (6)   INDEX  
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