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仏映画『ピアニスト』 (1) - ノーベル文学賞作家イエリネク原作
b0018539_17392362.jpg2001年のカンヌ映画祭グランプリ受賞作。原作者であるエルフリーデ・イェリネク女史が今年のノーベル文学賞を受賞したという一報に接して、あわてて台風が来る直前にDVDを借りてきた。だが正直なところ、この映画を批評するのは難しい。感想を表現する言葉を探すのに苦労するのだ。大人の映画であり、そして映画のメッセージは、受け手たる作品の理解者に、明らかに男よりも女を想定している。男は理解しにくい。序盤はいい感じで映像が流れる。セックスではなく、音楽こそがこの映画の真の主題ではなかろうかと思えるほど、音楽(ピアノ演奏)が前面に映し出されて、観客にヨーロッパの古典音楽の真髄をアピールする。エリカがワルターにアドルノのシューベルト論を講義する件(くだり)など、これは未熟な音楽知識では最後までついて行けないのではないかと怯(ひる)まされたりする。

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# by thessalonike | 2004-10-10 23:28 | 『ピアニスト』 (4)   INDEX  
今年を漢字一字であらわすと -  金  韓  雨  冠
今年も残りあと80日。毎年、年末になると今年の世相を反映した漢字一文字が財団法人日本漢字能力検定協会によって発表され、清水寺の森清範貫主が大きく墨書して、その映像がテレビのニュースで報道される。この「今年の漢字」は95年から始まった歳末の恒例行事だが、漢字の選定は公募によって決まる。今年は何の漢字が第一位に選ばれるだろうか。昨年は「虎」だった。星野タイガースの感動の優勝。去年の出来事なのだけれど、何だかずっと昔の話のような気がする。プロ野球がゴタゴタしたからだ。時期としては少し早いけれど、こういう話は人に遅れてしまっては意味がない。早めに言っておこう。私の予想は、


b0090336_1652561.jpgで、アテネ五輪の日本人選手の活躍がクローズアップされ、漢字発表のニュースと同時に今年を締めくくる顔として、北島康介や谷亮子や野村忠宏や野口みずきや室伏広治などなど、栄光の金メダリストたちの映像が再び画面に登場するのではないかと予想した。大本命は「金」だろうと自然に考える。ところがこの「金」は、実は四年前の2000年にも選ばれていて、それはシドニー五輪で高橋尚子が金メダルを取った事があって選ばれた。四年前のシドニーの年よりも今年の方がはるかに世相を「金」で表現するのに適しているとは思うが、果たして一度選ばれた漢字がもう一度選ばれることがあるだろうか。で、私の次点の一字は、


b0090336_1733052.jpgである。今年は韓国のドラマが流行った。特に『冬のソナタ』。「韓流ブーム」あるいは「冬のソナタ」は、今年の流行語大賞でも大賞に選ばれるか上位に入賞するだろう。自由国民社としては、この言葉を大賞に選んで、ペ・ヨンジュンとチェ・ジウを表彰会場に呼ぶ演出をしたいところだろうが、二人ともNHKの紅白歌合戦の審査員出演を断っている。NHKの紅白出演を断って流行語大賞の授賞式へ出るわけにも行かないだろうから、大賞には選ばれないかも知れない。そもそも「韓流ブーム」が流行語大賞なら、裏で両方を仕掛けて金儲けしている電通のお手盛りもいいところで、見ている国民はドッチラケだ。第三番目の候補は、


b0090336_16522239.jpgこれではないか。台風の上陸が史上最多で、特に雨の被害が甚大だった。台風とか豪雨を一字であらわす漢字があれば本命なのだが、残念ながらそれがない。台風や豪雨の代わりにそれを表現する一字となると、やはり雨ではないだろうか。アテネ五輪は日本人にとって嬉しい祝祭だったが、景気は悪く、犯罪は増え、世相は依然として土砂降りの雨の状態が続いている。国民生活は悪化の一途で、小泉首相の「改革」の言葉にも飽きがきた。最近の殺人事件は一度に四人殺すのが当然のようになり、件数も多くて、どれがどの殺人事件だったか判別に戸惑ってしまうほどだ。「雨」が選ばれてもおかしくない。


b0090336_1784126.jpgイチローの大リーグ年間安打数新記録の偉業もある。これを表現するに相応しい一字は難しい。五輪のメダリストたちと併せて「栄冠」とか「栄光」を一文字にしたいところだが、「栄」ではちょっと雰囲気が出ない。繁栄とかの意味になって顕彰とか表彰の意味が引っ込んでしまう。その場合は、そうすると、これになってしまうのだろうか。「輝」とかもあるが、何だかますます怪しくなってピタッと来ない。誰か日本人がノーベル賞を受賞していれば、「賞」の可能性もあったかも知れない。百出あるだろうが、多数は何を選ぶだろう。五輪の選手たちのおかげで真っ暗ではなくなった今年ではある。




# by thessalonike | 2004-10-09 23:30   INDEX  
村上春樹『アフターダーク』 (1) - 駄作か?        
b0018539_2112342.jpg一読した感想を正直に言えば、事前の期待が大きすぎたこともあるが、肩透かしを食らった印象が強い。ストーリーの内容も、文章の深みも、『海辺のカフカ』の作品水準と全く違う。『海辺のカフカ』の感動を期待して読む読者は、懼くその期待を裏切られる結果になるだろう。昨日、神田の東京堂一階売り場で本を買ったとき、通常15冊ほど積み置かれるはずの平積み一列で売られていた『アフターダーク』は、平積みの山がすっぽり窪んで、残りわずか二冊しかなく、谷間に沈んだ本の表紙を見つけたとき、前の男が一冊を取って行ったために、最後の一冊を手に取ってレジに並ぶしかなかった。その後で在庫から店頭に補充がなされたのかどうか。

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# by thessalonike | 2004-10-07 22:30 | 『アフターダーク』 (8)   INDEX  
『ダ・ヴィンチ・コード』書評予告編 - 「最後の晩餐」の謎の女
レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』は、キリストが磔刑される前夜に十二使徒と共にした晩餐の場面が描かれた有名な絵画だが、話題の本『ダ・ヴィンチ・コード』では、この絵についての新解釈が紹介される。何と、この十二人の中に女が一人いるというのだ。
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# by thessalonike | 2004-10-06 23:30 | 『ダ・ヴィンチ・コード』 (7)   INDEX  
韓国映画『スキャンダル』(1) - 愛を描き、観客を感動に導く
b0018539_943396.jpg話題のヨン様の映画デビュー作。見どころの一つは、『冬のソナタ』のペ・ヨンジュンが、時代も役柄も全く異なるこの作品でどういう演技を見せてくれるのかという点だが、ファンは実に一見の価値がある。見るべきだ。前評判のとおり、浮薄な女誑しの貴族のプレイボーイに徹しきっていて、冬ソナのあの生真面目なチュンサン青年の面影はほとんど見えない。イメージを消している。どこかで読んだ公開前インタビューで、役者は役を演じることが大事なのだというペ・ヨンジュンのコメントが記憶にあるが、まさにその発言のとおり。『冬のソナタ』のイメージを完全に壊している。写真を見てもそうだが、映画を見た最初の印象は、あれ、メガネを外すとこんな顔になるのかというものである。その印象分裂の奇妙で意外な感覚が映画のラストまで続く。最後までチュンサンの表情が画面に登場して来ないのだ。ペ・ヨンジュンの俳優としての演技力を褒める以外にない。

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# by thessalonike | 2004-10-04 23:30 | 『スキャンダル』 (4)   INDEX  
韓国映画『スキャンダル』(2) - 李朝の風紀紊乱と反モラル
b0018539_948999.jpg『スキャンダル』はR-18指定の成人映画で、中身も冒頭からエロティックな愛欲シーンが連続するが、決して単なるエロ映画ではない。それはネットの中にある寸評を見ても分かるとおりで、観客は作品の発する真摯なメッセージを受けて愛の普遍的な意味を考えさせられる。遊び目的、ゲーム目的の誑(たぶら)かしの愛が、いつしか身を焦がし身を滅ぼす真実の愛に転化する。偽りの愛を見抜いて拒絶していた女が、虚実半ばでそれを受け入れ、そして裏切られて傷つき、最後は「天国で人目を憚ることなく夫婦になる」生き方を選ぶ。二人は身を破滅させることで永遠に固く結ばれる。愛を快楽の手段としていた者、愛から身を遠ざけていた者、その二人の男女が最後は愛に生を支配される。愛は身を滅ぼすほどに重く、人を支配するものだというメッセージに感動させられる。

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# by thessalonike | 2004-10-03 23:30 | 『スキャンダル』 (4)   INDEX  
韓国映画『スキャンダル』(3) - 私が監督ならこう撮った
b0018539_9505487.jpgヒヨン役のチョン・ドヨンがミスキャストではないかという意見があって、それには多少アグリーする部分がある。個人的に欲を言えば、『ブラザーフッド』のイ・ウンジュあたりが出演してくれれば最高の配役になったかも知れない。懼くこれには少し事情があったはずで、それは何かと考えると、ヒヨン役の女優には二つの条件が要る。一つは妖艶で淫靡なチョ夫人と対照的な個性である清楚で貞潔な女のイメージを強く押し出す女優でなければならないということ。ヒヨンは処女でキリスト教の奉仕活動に身を捧げる女だ。もう一つの条件は、R指定の成人映画で全裸を曝し、濃密なラブシーンを演じられる女優でなければならないこと。この二つの条件で探したとき、チョン・ドヨンしかいなかったということなのだろう。チョン・ドヨンは貞潔の印象だけは満点と言える。

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# by thessalonike | 2004-10-01 23:30 | 『スキャンダル』 (4)   INDEX  
村上春樹『アフターダーク』 (2) - 登場人物の内面の浅さ
b0018539_2125297.jpg小説『アフターダーク』に物足りなさを覚えるもう一つの理由は、登場する人物にいつものような内面的な深みが欠けている点である。村上作品に特有の、主人公によるあの味わい深い省察と諦観がない。あるいは、準主人公の口を通して語られる時代への批判や主張の契機が弱い。だから『アフターダーク』の中では読者がストレートに感情移入できる人物が存在しないのだ。わずかに高橋の個性と言葉の中にいつもの村上作品の登場人物の香りを嗅ぐ程度だろうか。浅くて弱い。この点は読みながら読者が感じる違和感であり、読み終わって残るストレスと不足感だろう。本来の村上作品なら、その部分がもっと濃厚でインパクトがあるはずなのだ。

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# by thessalonike | 2004-09-30 23:30 | 『アフターダーク』 (8)   INDEX  
韓国映画『スキャンダル』(4) - 李朝文化ルネサンスの予感
b0018539_95615.jpg映画の中で主人公のチョ・ウォンが美人画や風景画を描いているシーンが屡々登場する。文武両道の風雅な貴公子チョ・ウォンは、ある意味で男子の生き方の理想像を示している。私はこの李朝時代の書画の文化について以前から関心を持っていて、どこかで知識を本源的蓄積する機会はないものかと右往左往しているのだが、今までのところ、残念ながらその機会を得ていない。ブログをご覧の方で助言があればぜひお願いしたい。十五年ほど前に、ETVの日曜美術館でソウルの国立中央博物館が紹介されたことがあった。NHKのスタジオで加賀美幸子アナと向き合った館長が実に立派な知識人で、その頃の一般の日本人からは聞かれなくなった美しい知的な日本語で解説されていたのが印象的だった。当時の国立博物館は、あのドームが特徴的な旧朝鮮総督府の建物で、それは1995年から96年にかけての撤去工事によって解体された。

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# by thessalonike | 2004-09-30 23:30 | 『スキャンダル』 (4)   INDEX  
村上春樹『アフターダーク』 (3) - その意図と隠喩    
b0018539_2155020.jpg『アフターダーク』の物足りなさについて言い出せばキリがないが、ひとまず登場人物の内面性の欠如と男女のセックス場面の不在について挙げた。いかにも村上春樹らしい作品であるようで、実は村上春樹らしくない。拍子を外された感覚は否めない。『アフターダーク』で感じるのは不足だけではない。不足感と同時に過剰感がある。過剰感の根拠は例えば姉エリの睡眠の描写で、あまりにページのスペースを取りすぎている印象がある。二つの場面や話をスイッチバックさせて章を交互にクロスさせつつ全体の物語を進行させ、最後に二つを一つに融合するのは村上春樹のスタンダードな手法だが、今回のエリの場合は話が空(から)で、寝ている場面の描写だけであり、スイッチバック進行のバランスがよくない。二つの話の展開の均衡がとれないのである。

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# by thessalonike | 2004-09-29 23:30 | 『アフターダーク』 (8)   INDEX  
『Good Luck』(3) - ベンジャミン・フランクリンの訓戒集
b0018539_1602846.jpg『グッドラック』は寓話で表現された幸運論なのだけれど、説かれている中身は決して観念的な幸福論ではない。宗教が語るような「頭の切り替え」とか「気持ちの持ち方」を要請する幸福論や人生論ではなく、現実的で経済的な成功法則論である。実践的でシンプルな生活倫理と経営倫理の啓発が『グッドラック』のメッセージだ。前回、作品の背後にダニエル・デフォーの『ロビンソン漂流記』が見え隠れしている点を指摘した。作者の企図は現代版「ロビンソン・クルーソー物語」にあるのではというのが私の見方だが、『グッドラック』のメッセージは読者に対してさらにダイレクトであり、物語を読ませて裏の寓意を考えさせるというスタイルではなく、いきなり各章の終わりに総括として教訓の言葉が書き並べられている。この教訓カタログが『グッドラック』を文学の本ではなく経営の本にしているとも言える。

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# by thessalonike | 2004-09-28 23:30 | 『グッドラック』 (5)   INDEX  
『Good Luck』(4) - ポプラ社と「資本主義の精神」
b0018539_15531592.jpg『グッドラック』が各書店での週間売上で、『ダ・ヴィンチ・コード』と『アフターダーク』を抜いて最上位にランキングされている。この本についての批評は、私は最初の回で集約して書いたから特に追加することはないが、時間が経つほどに、本の中身のよさの印象よりも、この本をめぐる事件性と言うか、問題性の方に関心が傾いてくる。そしてそれは、私においてはある種の懐疑あるいは当惑として、この本全体の評価をプラスではなくマイナスに位置づけるべく作用してしまう。最も大きな問題はポプラ社というブランドという問題と、そして資本主義という問題だ。この辺りをどう説明すればよいか。説明のために多くの言葉が要る。私の当惑は、ポプラ社の内部の人間なら簡単に理解できるだろうし、業界で長く仕事している者なら、同じ意外な気持ちで今回の「事件」を眺めているに違いない。フィリップ・コトラーが絶賛している。これはまだよい。だがアイアコッカが激賞している。これは駄目だ。そんな本をポプラ社が出すべきじゃない。

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# by thessalonike | 2004-09-27 23:30 | 『グッドラック』 (5)   INDEX  
球界再編考(2) - 国会(良識の府)は何をやっていたのか
b0018539_17465210.jpgギリギリのところで古田敦也が日本のデモクラシーを守り、また古田のおかげで日本のプロ野球は頓死を免れた。古田は日本の民主主義の守護神であると同時に日本プロ野球の守護神でもある。何もかも古田に負っている。三十九歳、体力も気力も充実して、男が最高の仕事を遂行できるとき。古田は日本の民主主義を救った偉業によって歴史に名を残すだろう。古田の人生で今回の交渉が最大の功績になるに違いない。交渉相手役だったロッテ球団代表の瀬戸山隆三も、古田のお陰で脇役ながら歴史に名前を刻むことになる。瀬戸山は大きな人生の桧舞台を提供してくれた古田に対して心の奥底で深く感謝しているだろう。この問題が偶然に発生しなければ、瀬戸山は無名のサラリーマンとして生涯を終えていた。

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# by thessalonike | 2004-09-27 22:10 | 球界再編 ・ 岩隈移籍考(10)   INDEX  
丸の内オアゾの丸善本店 - 雨の日はここでお買い物
b0018539_21383515.jpg鳴り物入りでオープンした丸の内オアゾの丸善本店。メディアで注目を集めているせいか、人がとても多かった。本の品揃えは悪くないが、客が多かったことと、初めてだったので、落ち着いてゆっくり本を見ることができなかった。フロアに高さがあるのはいい。が、ワンフロア当たりの床面積は思ったほどでもない。もっと広い店を想像していた。新しい話題の店であり、週末でもあり、オアゾをデートスポットとしてチェックしに来た若いカップルとか、新名所だから行ってみようかと連れ立って来ていた老夫婦が多くいた。4階のレジカウンターに並んだが、今日のあの待ち行列が次も続くようだと、あと暫くは訪問を遠慮する気分になる。もう少し落ち着くのを待ってから行ってみよう。6階のレストランの一軒に恐る恐る入ったが、予想したとおり値段は高くて内容は貧弱だった。昔懐かしいバブルの小世界が復活している。

b0018539_21384869.jpg私はどうも丸善という本屋が昔から好きじゃない。勝手な偏見に違いないが、経営者や幹部が本を愛しているように見えないのだ。本の並べ方はジュンクと三省堂に倣っているのかなと感じたが、初めて池袋のジュンク堂を訪れたときのような新鮮な感動がない。本屋としてはジュンク堂の方がプロフェッショナルだし、ジュンク堂や東京堂書店の経営の方にヨリ本への愛着や拘りや斬新なアイディアを感じる。本が好きな顧客の心をよく捉えているように思う。経営者や従業員自身が一級の本読みであり、つまり水準の高いマニアックな読者なのだ。その点、三省堂書店などは少し劣るように思われる。店員の中に、本のプロではなく、本が必ずしも好きではない者がいる。丸善になると、普通の企業の採用で社員になった人間が店にいて、職人らしさが感じられない。フロアの中にPCを置いて本を検索させている。

b0018539_21393516.jpg丸善の企業理念は、懼く、本が好きな顧客に愛される店舗を作ることではなく、もっと別のところにあるのだろう。本当は文房具とか趣味の品とか芸術品とか、その延長のもっと高級なプロダクトとかサービスとか、そういう書籍以外の方面に事業を伸ばしたいのだろう。いま競合他社がどんどん大型店を出して売場面積を拡大しているので、競争戦略上、本店を日本橋から丸の内に移転する決断をしたのに違いない。無論、そのデシジョンは正しく、間違ってはいない。丸の内の街の集客数は増加する一途だし、オフィスも新規に増え続けている。八重洲ブックセンターの平日の混雑を思えば、何で今まで周辺に競合店が進出していなかったのか不思議に思えるほどだ。だが、本屋として自分の定番の店にするかどうかと言えば、今のところは様子見だ。やはり神田の方が魅力がある。食事も神田の方に軍配を上げる。

b0018539_21394886.jpg強いて言えば、地下鉄の駅から外へ出ずにそのまま本屋に入れる。交通の利便性は確かにある。夏の暑い日や雨の日は助かる。大概の本が揃っているのであれば、ここで買っちゃおうという気になるかも知れない。池袋の駅からジュンクまでは遠いのだ。あれを歩くのは苦痛だ。あの人混みと狭い歩道は苦手で、人に優しくない池袋の空気は苦痛だ。神田も、神保町の駅から三省堂・東京堂までの間の距離が雨の日は少し辛い。何より神田は地下鉄が三本しか通ってなくて、しかも二本は都営線。乗り換えして行く価値は十分あるものの、交通に不便があるのは言うまでもない。丸善が丸の内に店を構えたことで、確実に足を運ばなくなる店が一軒ある。八重洲ブックセンター。ほんの数年前は、あの店舗の広さと品揃えの豊かさと立地のよさが魅力的だった。株価のボードを横目で見るのも楽しい気分だった。

本の市場は急激に変わっている。特に東京の本屋は。

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# by thessalonike | 2004-09-26 00:14 | 丸の内オアゾの丸善本店   INDEX  
『Good Luck』(5) - ポプラ社のブランドとカスタマ
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私も、最初に原稿に目を通した時から、単純でありながら実に奥が深いこの物語の虜になってしまい、同じように感銘を受けた社内の人間たちと「この本を一人でも多くの読者に届けるために、できることはなんでもしよう!」を合い言葉に、さまざまな試みをしながら本づくりに取り組んできました。(中略) 「児童書のポプラ社」という看板でやってきたポプラ社に「第三編集部」という一般書の部署ができて丸4年。この歴史は、第三編集部発足と同時に入社した私の歴史でもあります。とにかくなんでもアリ、編集者の惚れ込み度の針が思いきり振れていれば大抵の企画が通る、という無茶で幸せな職場ですが、「大人も子どもも楽しめる」「本好きでなくても読める」「読んで元気になれる」というポプラ社だからこそのコンセプトは大切にしたいな、と思ってきました。そんな中で生まれたこの『Good Luck』は、まさにポプラ社第三編集部らしい、胸をはって売りまくりたい一冊です。お力を貸してくださったたくさんの方への感謝も込めて、これからしばらくのあいだ、突っ走らせていただきます。


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# by thessalonike | 2004-09-25 23:30 | 『グッドラック』 (5)   INDEX  
球界再編考(1) - 古田は日本の民主主義の偉大な守護神
b0018539_17384251.jpgプロ野球の話題がトップニュースになるのは異常ではないかという声が一部にあるけれど、本来、この問題は日本の民主主義の根幹に触れる重要事であり、その意味できわめて政治的な問題であるように思われる。国会や閣議の映像が流されればそれが政治報道だというわけでは決してなく、永田町の政治家や霞ヶ関の官僚がマスコミを使って自分たちに都合のいい情報を垂れ流しているのを意味のある報道だと思うのは間違っている。今回の選手会のストライキをめぐる騒動は、この国の民主主義のあり方が国民一人一人の前で問われた大きな社会的事件だった。制度としての民主主義が確立しているこの国で、多数者の意思を現実化することがいかに困難か。多数者の支配というデモクラシーの原理を実現するのに、どれほどの苦労と幸運が必要になるか。

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# by thessalonike | 2004-09-24 23:50 | 球界再編 ・ 岩隈移籍考(10)   INDEX  
『ダ・ヴィンチ・コード』 (1) - 方法としてのインディジョーンズ
b0018539_1843417.jpg聖杯伝説とダ・ヴィンチの絵の謎を題材にしたサスペンス・ミステリー。読書の秋の注目の話題作。キリスト教史、ヨーロッパ思想史の本としても非常に興味深く読める。蘊蓄が満載で、特にアナグラムや暗号解読が好きな読者には堪えられない一冊だろう。ページを埋めているコンテンツは宗教学(図像学・象徴学)の知識なのだが、小説の方法が映画的で、ドラマの場面展開が映画のシーンが連続するように構成されている。すぐにでも映画化されそうな作品であり、その場合は米国(ハリウッド)の映画になるだろう。映画化が意識されている。読みながら作者のことを考えていた。ダン・ブラウンとはどういう作家なのだろうかと。作品のテーマやモチーフからすれば熟年のベテラン作家を連想させる。研究と熟考を重ねた文章を期待する。

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# by thessalonike | 2004-09-22 23:30 | 『ダ・ヴィンチ・コード』 (7)   INDEX  
『ダ・ヴィンチ・コード』 (2) - グノーシス獲得としてのセックス
b0018539_181849.jpgなるべく他の人とは違う視角での批評を試みたいのだが、この本で強く関心を喚起させられたのはセックスの問題だった。小説『ダ・ヴィンチ・コード』の重要なテーマは宗教と性の問題であり、読者はセックスの問題について深く考えさせられる。すなわち、キリスト教以前は人間が普通に抱いていた「聖なる女性」の観念や女性崇拝の慣習が、教会によって否定され、異教的な倒錯や悪習として嫌忌され撲滅される対象となり、魔女狩りが行われ、女性の地位と尊厳が貶められると同時に、人間生活一般の中でセックスを不当に禁忌し卑蔑する観念が支配的になった。宗教の薀蓄が満載の小説の中で、一本の筋としてキリスト教における女性とセックスの矮小化の歴史が告発されていて、女性とセックスを本来の地位に復活させるべきだという基調が貫かれている。

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# by thessalonike | 2004-09-21 23:30 | 『ダ・ヴィンチ・コード』 (7)   INDEX  
『ダ・ヴィンチ・コード』 (3) - 聖婚と聖娼、神婚と斎女
b0018539_1515133.jpgソフィーが目撃した祖父の秘密。ノルマンディーにあるソニエールの別荘で繰り広げられるシオン修道会の謎の性秘儀の情景。この聖婚秘儀の場面は作品全体の中でもきわめて重要な位置を占めていて、ドラマの序盤ですでに暗示されながら、全貌が明らかになるのは下巻に入ってからであり、読者の関心を惹きつけ続けるキー・モメントの役割を果たしている。作品が映画化された場合にも、このシーンは重要なアクセントとなるに違いなく、映画化を前提としている作者ブラウンは、この映像のアイディアに自信を持っている様子が窺える。と言うより、映画化が意識されていることを読者が了解するのは、まさにこのミステリアスで淫靡な性秘儀の場面の描写であり、一読して、忽ち頭の中にハリウッド映画の荒唐無稽な一場面が出来上がってしまうのだ。

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# by thessalonike | 2004-09-20 23:30 | 『ダ・ヴィンチ・コード』 (7)   INDEX  
『ダ・ヴィンチ・コード』 (4) - 死海文書とマグダラのマリア
b0018539_1571344.jpg『ダ・ヴィンチ・コード』の世界の思想史的背景についてもう少し詳しく掘り下げたいという衝動にかられて、部屋にある本棚を掻き回していたら面白い本を見つけることができた。今から二十年も昔に買った山川出版社の『民族の世界史(8)ヨーロッパの原型』、この本の中の谷泰の『キリスト教とヨーロッパ精神-とりわけ女性的性をめぐって』と題された論文が面白い。主題と基調がほとんど今回の『ダ・ヴィンチ・コード』と同じであり、読みながら、まるでシャトー・ヴィレットの邸宅でティービングの饒舌な聖杯講義を聴いているような感覚になる。作者のダン・ブラウンが小説執筆に際して基調と薀蓄の元ネタとして活用した主な研究書は下のとおりで、これらは下巻の冒頭にテイービングの口を通じて紹介されている。

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# by thessalonike | 2004-09-19 23:30 | 『ダ・ヴィンチ・コード』 (7)   INDEX  
『ダ・ヴィンチ・コード』 (5) - イエスの復権と男女平等主義
b0018539_16575031.jpgキリスト教正統派の確立期に並行して成立していたと考えられる『トマスによる福音書』や『ピリポによる福音書』の文言の背景を知ったいま、われわれは、これら女性原理を抑えた正統派の見解と並行して、グノーシス主義的思想に依拠したまったく別個のキリスト論が存在していたこと、そしてそこには女性原理の賞揚、そしてイエスとマグダラのマリアに代表される女性的存在との交わりないし合一による救済論が展開されていたことを認めなければならない。これらの主張は、正統派キリスト教にとってはたんに排除されるべきものにとどまらず、否定すべき最大の異端とみなされるべきだったことはその主張の内容をみるとき、容易に理解できる。聖婚的モチーフ、そして女性原理の賞揚はつねに旧約的伝統から排除されてきたものである。ただこれまでみてきた正典の福音書とグノーシス主義的色彩をもった外典のキリスト論を、旧約的路線に照らして見直すとき、正典福音書が、旧約的路線にくらべて、より本来の伝統的立場からそれて、ある種の女性原理への許容ないし譲歩を示していることも事実である。

(山川出版社 『ヨーロッパ文明の原型』 第4章 P.288)


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# by thessalonike | 2004-09-19 23:30 | 『ダ・ヴィンチ・コード』 (7)   INDEX  
『ダ・ヴィンチ・コード』(6) - 歴史認識とアナロジー
b0018539_9493343.jpgティーピングの口を借りてブラウンの歴史認識が滔々と講義されている。分かりやすい議論であり、読者の側で特に反論を思い立つ者はいないだろう。説得的な歴史認識だ。聖書についてはこのように説明されるのが一番了解しやすい。そもそも聖書には人の理性や思考を超越した物語ばかりが記されていて、信仰を持たない者が読んでも興味を繋げることのできない性格の書物である。象徴や隠喩といった裏側の意味や背景を探り当てる試みにしかならない。一人で読む本ではなく、これは教会の神父か牧師に解説してもらうものだ。解釈を聴き、そこから何事かを考える本である。直接、自分からその世界には入れない。物語に登場する人物のありさまは全て予め演劇で定められた台詞のようであり、予定的で、解釈が与えられている。リアリズムの契機が弱い。

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# by thessalonike | 2004-09-17 23:30 | 『ダ・ヴィンチ・コード』 (7)   INDEX  
『ダ・ヴィンチ・コード』(7) - 学研『キリスト教の本』のお奨め
b0018539_14555095.jpg丸の内オアゾの丸善本店に様子見に行ったとき、4階のレジの列に並んで買ってきたのは山川出版社の『キリスト教史Ⅰ』と学研の『キリスト教の本(上)』だった。例のティービングが言っていた「公会議で投票で決まった三位一体説」の話が気になって、詳細を調べたかったからである。『ダ・ヴィンチ・コード』を読んだ読者は、キリスト教の教義や歴史についてもう少し知りたいという欲求を自然に持つに違いない。この二冊を読み較べて言うと、『ダ・ヴィンチ・コード』で喚起された問題関心に対して当を得た回答を返してくれるのは学研の『キリスト教の本』だ。面白い。1165円。『ダ・ヴィンチ・コード』の副読本としてお奨めしたい。本の題名で損をしている。一見して、いかにも浅薄な趣味的カタログ本のイメージがあって、内容の濃さを期待できない印象を受けるが、実際は決してそうではない。キリスト教研究の最先端の問題意識が読者に分かりやすく紹介されている。

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# by thessalonike | 2004-09-16 22:30 | 『ダ・ヴィンチ・コード』 (7)   INDEX  
米国映画『華氏911』(4) - 文学的なものと政治的なもの
b0018539_12492852.jpg映画『華氏911』の批評を試みつつ辺見庸について考えている。思うことは何かと言うと、すなわち反戦あるいは反帝国、あるいは反グローバル資本主義を考える上でのナショナリズムとインターナショナリズムについての問題であり、そしてまたもう一つは文学と政治という問題だ。前回、イラク戦争反対をわれわれが言うのなら、米国産の反戦言説を借用してその気になるのではなく、日本人として自分の頭で考えて日本の言葉でそれを語るべきだという辺見庸の主張を紹介した。尤もな議論であり、現状はそれがあまりに無さすぎる。それができているのは辺見庸くらいのものだ。で、それに関連して私にはふと頭をよぎる問題系があり、ここでやや唐突だが別の人間の別の議論を紹介したい。イラク戦争とは直接関係ないのだが。

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# by thessalonike | 2004-09-15 23:48   INDEX  
村上春樹『アフターダーク』 (4) - 若い読者との距離感
b0018539_2230931.jpgいま、カーティス・フラーの『ファイブスポット・アフター・ダーク』を聞きながらこれを書いている。昨日、銀座の山野楽器本店へ行って早速CDを買ってきた。店員がレジカウンターの横からすぐに取り出してくれた。『ブルースエット』は定番の商品だと言う。なるほど聞き覚えがある。いい曲だ。村上春樹は読者を裏切らない。外で雨が降る9月の静かな日に部屋の中で聞くのにいい。ジャズを聴くのはひさしぶりだが、懐かしく満ち足りた嬉しい気分になった。デニーズ、すかいらーく、セブンイレブン、ラブホテル、安価で粗悪で夢のない演出道具ばかりが揃え並べられた中で、このジャズの曲だけが、唯一、夢のある豊かで素敵なもののように思える。次はソニー・ロリンズの『ソニームーン・フォー・トゥー』を聴いてみよう。

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# by thessalonike | 2004-09-14 23:30 | 『アフターダーク』 (8)   INDEX  
米国映画『華氏911』(3) - 日本の反戦文化の貧困
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この映画を見にきたお客、とくに若い客のいやまあ多いこと、私はそれに驚いた。見終わって帰途につく若者たちのどこか昂揚した面持ちにも、正直、眼を瞠った。反米、嫌米、反ブッシュの感情が世代を超えて広がりつつある。なんとしてもイラク攻撃をしようとするブッシュ政権への反発が映画への感応をいやましにつよくしているようでもある。わるい傾向ではない、と思いはする。ただ、寒風にさらされ、われに返れば、すこぶる奇妙な感慨にもふけってしまうのだ。米国の横暴に憤するのに、みずからの指針ではなく、米国の正義感にまたも無意識に依存している。ノーム・チョムスキー、ラムゼー・クラーク、エドワード・サイード、バーバラ・リー、スコット・リッター、グレッグ・パラスト、そしてマイケル・ムーア・・・。彼らのメッセージに依拠し激励され権威づけられて、みずからの反戦意識を確認し増幅する。

昨年刊行された『いま、抗暴のときに』の中で、辺見庸はマイケルムーアの映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』に触れて、次のように書いている。

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# by thessalonike | 2004-09-14 22:54   INDEX  
米国映画『華氏911』(2) - カタルシスとベンジェンス
b0018539_12385455.jpg3年前の911の同時多発テロが発生する前から、世界も日本も妙に嫌な方向へ進んでいて、自分の意思や希望が社会一般から拒絶され、したがって未来に期待を持ち得ず、幸福への可能性を見出せず、言葉を失って惨めに逼塞していたのは明らかだったが、あの事件が起きた3年前からは、ほとんど住んでいる世界が牢獄のようになり果て、窮屈と絶望の窮みで悲憤し身悶えしていたのは本当のことだ。本屋へ行ってみすずの白くて薄いサイードを手に取ったり、毎日新聞の原色の辺見庸を捲って一人で頷くぐらいが、せいぜい自分を慰める術だった。しかし思い出してみれば、NYのWTCビルが黒煙を上げて炎上するニュース映像を見た瞬間から、この事件は間違いなく自分を悪い方に導き、自分たちの生活を苦しめる方向に作用するだろうという直感と確信はあった。

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# by thessalonike | 2004-09-13 23:52   INDEX  
村上春樹『アフターダーク』 (5) - ツールとマニュアル
b0018539_22482819.jpgこの日曜日の午後、クルマを運転しながら某在京FM局を聴いていたら、偶然、村上春樹の話になって、音楽番組のキャスターから面白い情報が紹介されていた。『アフターダーク』の終盤の場面、セブンイレブンの店内で流れる曲の一つだったと思うが、スガシカオの『バクダン・ジュース』という曲名が登場する。そのスガシカオというミュージシャンが実は村上春樹に心酔する大ファンで、小説の中に自曲が挿入されて大感激しているという話題だった。ネットで調べてみるとやはり情報があり、スガシカオが村上春樹のファンであるだけでなく、村上春樹自身がスガシカオのファンであるという。こうなると読者はスガシカオを聴かないわけにはいかないし、スガシカオの音楽は爆発的に売れることだろう。コラボレーションと呼ぶにはあまりに非対称な販促プロモーション。

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# by thessalonike | 2004-09-13 23:30 | 『アフターダーク』 (8)   INDEX  
米国映画『華氏911』(1) - 単なるプロパガンダではない
b0018539_1237571.jpg今日は9月11日。タイムラインを一日でも踏み越えてしまうと格好悪いので、昨日、あわてて映画『華氏911』を見に行ってきた。日比谷のシャンテシネは小さな劇場だが、平日昼間の館内は満席で、特に観客の中に外国人がやたら多いのが目についた。文句なしに素晴らしい作品だった。この映画については事前にあまりに多くの報道がなされていて、評価と貶価の声が過剰に渦巻き、そして作品中の幾つかの映像の断片が繰り返し何度もテレビ放映されていて、観客は映画館に足を運ぶ前にすでにこの映画を見た気分になっている。実際に映画を見るのは単に確認のための意義でしかないと思いがちだ。だが、本編を見た私の感想は全く違う。この映画を単なる政治的な宣伝映画であると評するのは誤りだ。

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# by thessalonike | 2004-09-12 23:14   INDEX  
村上春樹『アフターダーク』 (6) - 『ある愛の詩』の謎
b0018539_236327.jpg小説『アフターダーク』の中で一ヶ所だけ不審に感じた部分があったので、この機会に挙げておきたい。高橋とマリの会話の中で、米国映画『ある愛の詩』が紹介される件(くだり)である。

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# by thessalonike | 2004-09-11 23:30 | 『アフターダーク』 (8)   INDEX  
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